□03. ページ15
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私の横を通り過ぎるその人から
プンと独特の匂いがして
白いシャツを汚しているのがワインだとわかる
洗面所に入った途端
？「わ…ひっでぇな、コレ」
鏡に映った自分の姿を見て、そう呟いたその人の顔を
同じく鏡越しに見た私は、飛び上がりそうなほど驚いた
「ニノミヤカズナリ……？」
ニノ「んふふ(笑)フルネームかよ」
なんか可愛らしい黒縁のメガネなんてかけてるけど
笑ったその顔も、その声も、テレビで見たことのあるそれと同じで
むしろ、今まで気付かなかった自分が
とんでもなく間抜けに思えた
「……なんでこんなとこに」
だって、そもそもここは東京じゃないのに
ニノ「あれ、知らないんだ。そっかそっか」
一人でウンウンと頷いたニノミヤカズナリは
黒縁のメガネを外して、おもむろにシャツを脱いだ
目の前にさらされた上半身は、白くて滑らかで
……あれ、ちょっと腰回りにお肉、ついてる？
意外にも割とふっくらしてた
・
ニノ「…シャワー、借りてもいい？」
ボンヤリと背中を見ていた私を
鏡越しのニノミヤカズナリはそう言って笑う
その手はもうベルトを緩めにかかっていて
「あ、いやあのっ、どうぞ！ごゆっくり！！」
私は慌ててバスルームを飛び出した
・
・
頭の中をいろんな？が飛び交っていて
芸能人で、しかもアイドルが
なんでこんなとこにいるのか、とか
よくよく思い返してみれば痴話げんかっぽいさっきの光景とか
赤ワインに染まった白いシャツとか……
……そうだ、シャツ
洗ってあげた方がいいかもしれない
そう思って、シャワーの音がしているのを確認して
そっとバスルームの扉を開けた
バスタブに引かれたカーテンの向こうで
シャワーを浴びる人の気配
「…シャツ、洗っておきますね」
シャワーの音にかき消されないように
少し大きな声でそう言った
ニノ「悪ぃ、助かる」
その言葉に安心して、シャツを手に取った
ずいぶんと派手に染まっていたシャツも
丁寧に洗い流したら、ほとんど目立たなくなった
・
顔を上げた拍子に、ふと鏡の中の自分の姿が目に入って
「あ゛ぁっ!!!」
頭に巻きつけたタオルと、バスローブ姿で
すっぴんの自分が、情けない声を出してるのが見えた
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作者名：１２(とうふ)の角(かど)に頭ぶつけ隊
x他3人 | 作成日時：2013年12月3日 12時
