[104]解放 ページ4
息を切らして家の前まで到着、恐る恐る玄関のドアを開けるとリビングから男の怒鳴り声が聞こえた。
『なにしてんの』
燃え上がるような苛立ちを少しでも隠そうと、静かに家へ上がって部屋の戸を開ける。
京「…っ、何で帰って来たんだよ」
お兄は殴られたのだろう、口の端から少し血が滲んでいた。
父「あぁ…Aか。この前"母さん"に暴言を吐いたんだってね、聞いたよ。」
『誰が母さんだって？もうわたしたちに母さんなんて存在しないんだよ。』
そう言ってお兄のもとへと近寄る。
京「なんで戻ってきたの…バカじゃん」
『お兄1人ほっておけるわけないじゃん。
てゆーかあんたら今さら何しにここへ来たの？』
と、男をきっと睨んだ。
父「誰に向かって口きいてるんだよ。
お前ら兄妹は本当に口が達者になったなぁ。」
そう言って男はわたしたちへ向かって椅子を蹴り上げた。
口調は穏やかだが明らかに苛立っている。
なんとなく、自分の性格と重なるところがあった気がして反吐が出そうだ。
父「やっぱり、しっかりと躾はしておくべきだったかもしれないね…」
そう言って男はじりじりとわたしに詰め寄り、思い切りひっぱたいた。
よろけ倒れ込んだわたしを踏み付け、男は止めようとするお兄の腹に一撃。
父「あまり手荒な真似はしたくないんだ、分かるだろ？自分の子を殴るのはつらい。」
『はぁ？どの面下げて言っt((…』
京「…要件は？」
立ち上がって反抗しようとするわたしを制止して、お兄は尋ねた。
父「なに、簡単なことさ。
もう京介は大人だし、Aもじきに18だ。
ここから出て行ってくれ。5日以内にな。
明日、お前たちの口座にいつも通りの金額を振り込んでおく。それで最後だ。」
京「は…5日以内…？そんなの無茶だ。」
『でも待って、これ、要するにあんたらとはこれでやっと縁が切れるってことでしょ？
これから何も干渉することなく。』
だったら利点しかないじゃん、と顔を輝かせたわたしが馬鹿でした。
次の瞬間にはもう世界が90度回転。
頭を殴られて床に倒れ込んだ。
父「あぁ、そうだよ。そのお利口なお口は切り裂いてやりたいくらいだね、A。
何年も待ったんだ、2人がある程度大人になるまでね。感謝してほしいくらいだ、俺の提案には。」
はぁ、笑える。
呆れてなにも言えないわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1008人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みしゃとんとん(プロフ) - ??折原千潤??さん» コメありがとうございます！特別何かに特化したDヲタではないのですが、そこそこ知識はあります(笑)つい先日シーに行ってフェスミス見てきましたよ〜♪ザンビでノリノリで歌って踊りました(笑) (2019年10月23日 22時) (
レス) id: 37e2561948 (このIDを非表示/違反報告)
??折原千潤??(プロフ) - Dオタなんですか?!?!自分もDオタです！！スプブよりミスティークの方が私的には好きです！！(( (2019年10月23日 17時) (レス) id: dd646d0cd7 (このIDを非表示/違反報告)
みしゃとんとん(プロフ) - あおいさん» お返事遅れてすみません(汗 コメありがとうございます！更新ゆっくりですが、これからも読んでもらえるよう精進します…！！ (2019年8月23日 17時) (レス) id: 37e2561948 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - こんにちは！毎回お疲れ様です！いつも楽しく読ませてもらってます！これからも更新頑張ってください！ (2019年8月15日 1時) (レス) id: 037180754f (このIDを非表示/違反報告)
みしゃとんとん(プロフ) - 龍音さん» コメありがとうございます！最近メンバーの配信も見れてないし、キャラも口調も違うかもしれないんですけどね…(汗 でも気に入ってもらえたなら良かったです(*>ω<*) 近々更新予定ですので、続きも是非お願いします〜 (2019年6月12日 10時) (レス) id: 37e2561948 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年3月22日 15時
