七十二話:説得 ページ24
雫視点
ヒサ「また…」
小さく声を漏らす。
焦った様子でカゲ兄がファミリアさんに問いだした。
カゲ「…奴らと戦う気か?」
ファ「えぇ、私やチョコたちはそのために住んでいた村を出てこの街まで来た。この街の研究施設に私たちの家族は囚われているんです。」
カゲ「なんでわかる?」
ファ「私たちに出資や情報提供をしてくださる方がいらっしゃるんです。」
その言葉に、ボティスちゃんが首を挟んだ。
ボテ「出資ぃ〜?こんなボロ小屋とあんなショボイ装備でか?」
『ボティスちゃん。』
たしなめるものの、反省の気配はないようだった。
彼女が少し眉を顰めながら答える。
ファ「しょうがないです。お金が無限にあるわけじゃないでしょうし、出資していただけるだけでありがたいです。」
シデ「チョコの足は?」
シディ兄がそう聞くと、首を振った。
ファ「それは私には…今日会ったらあぁなってて。チョコは数日前、トッププレデターを見つけて似鳥戦いにいって…それで帰ったらあんな風に。」
優しそうな顔から一転、厳しい顔へと変化する。
ファ「チョコをもとに戻すためにも私たちはトッププレデターを倒します!!
そこで先ほど皆さんの戦いぶりを見て、もしよろしければお力を…」
カゲ「やめとけ。」
カゲ兄がばっさりと断る。
彼女が「えっ?」と困惑した声を出した。
カゲ「こんなオンボロ装備とガキ共じゃ無駄死にだ。」
あくまでたしなめるように言う。
ファ「そんな…」
意外そうな顔をして反論した。
ファ「貴方さっきボコボコにさえてたじゃないですか…」
よくそんな事言えたな、という目で彼を見つめる。
自分も変わらないが、関係ありませんよという顔で目をそらした。
ヒサ「…残念ですけど、私もそう思います。」
シデ「なにもわざわざ死にに行くことはない。」
説得力のない私らの代わりにヒサ姉らが言う。
カゲ「そー言う事だ。諦めな。」
酷く傷ついたような顔で言い放った。
ファ「良いですね、あなた方は皆幸せで。」
カゲ「『ア"?/は?」』
無意識に低い声がカゲ兄と重なる。
駄目だ、落ち着くんだ。
ファ「貴方たちにはわからないでしょう想像すらしたことないでしょ?大切な人が失われるって事が…
自分の身体の一部を奪われるような痛み、辛さ、苦しみ。まぁ、あんなもの知らないに越したこと無いですよ。知ればもう二度と前と同じようには生きられない…」
そんなの、経験しすぎた。
なんて、言うのは酷だろうか。
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アライラスカル(プロフ) - コメント失礼します!今更ハマった民ですが、すっごく面白くて…一気に3まで見入っちゃいました!日常編もストーリー編も絡んでいて楽しかったです!夢主も強くて優しくて、めっちゃ好きです!今更なコメントですが、続き待ってます!! (5月31日 23時) (レス) id: 63216eab75 (このIDを非表示/違反報告)
憐華 - これ、めっちゃおもろいッッッ!!!!!(ビッグボイス)いや、もう、本当に面白い、うん、語彙力の欠片も無いぐらいになるぐらい面白い、うん、(?)すッッッごい面白いです!!!!!更新頑張って下さい!!!!!カゲがかっこよすぎて死んだ!!!!! (2023年4月20日 1時) (レス) @page31 id: fab616ee26 (このIDを非表示/違反報告)
みつばち82(プロフ) - まってまってめっちゃ面白いやばいてこれ。続き見るまで寝れませんよこれ。えーカゲかっこいい…夢主もすきすぎる…これYouTube本編で満足出きるか解んないくらいすき。続きどこですかー?!(゜Д゜≡゜Д゜)? (2023年4月16日 14時) (レス) @page31 id: f18241e44c (このIDを非表示/違反報告)
カレコレLOVE - 鈴の吸血鬼(アザミ)様が好きなので、2期がすごい楽しみです!頑張ってください!デ・バルボア様もカッコイイ… (2022年6月6日 6時) (レス) id: 03cfc00a81 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎/蜃気楼(プロフ) - カレコレLOVEさん» 大変嬉しい御言葉誠にありがとうございます!一度決めたらやる人間なので、ストーリー編二期は完全にやるつもりです!!今後ともこの小説をよろしくお願いしますm(_ _)m (2022年6月6日 6時) (レス) id: 1e4e5c90eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽炎/蜃気楼 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1210kagero1/
作成日時:2022年4月11日 18時