新人さんは色彩を失った少女3【カレコレ屋】

六十三話：帰宅 ページ15

雫視点

ガチャリとドアが開いた。
窓の外は既に夕暮れが広がっている。

ようやく帰って来たようだ。

『おー、おかえり。遅かったね。』

カゲ「おう、ただいま。」

ヒサ「ただいまー。」

シデ「ウヌ、安静にしてたか？」

少し目眩がするので上半身だけ起こし、三人をの方に顔を向けた。
ん？いや……四人？

『ね、その子誰？』

シディ兄が背負っている少年を指差す。
少なくとも、ここら辺の子では無いような…

カゲ「あぁ、ヒルに襲われててな。」

『え？ヒル？え？あのヒル？』

瞬時に湿ったところに居るうねうねしたのを思い浮かべる。

子供が襲われる？ヒルってそんなでっかいの居るっけ。
森だからなのかな…突然変異とか……

ヒサ姉が、そんな思考を遮るように放った。

ヒサ「だからアレはヒルじゃないって！雫ちゃんも真面目に考えない！！」

まぁ、それはそうだよな、と納得する。
と、再び口を開いた。

ヒサ「それで色々あって病院行ってたりして遅くなったの。ごめんね！」

手を合わせる彼女に笑い掛ける。

『大丈夫だって。そうだ、寝てるみたいだし場所譲ろうか？』

シディ兄が首を振る。

シデ「いや、反対側に寝かせるからいい。雫は寝ていていいぞ。」

『はは…元気なんだけどな。』

仕方なく布団の中へ潜り直した。
向かいの様子を横目で見つめる。

さっきは気づかなかったけど、彼、足がおかしくなってるな…
病院に行ってたって言うんならコレが原因かな。

入院せずに戻ってきたんだから、簡単に治せないものなんだろう。

混血児…いや異宙の住人か？

でも、そうだとしても足以外の異常が見られない。
異宙の人だったら全体的に変化するはずだし、混血児ならこんな局所的に変化しない。

一個しか入ってない…？いや、私以外にそんな子は居ないはず……

『……』

ああぁぁあ…暇すぎて無駄な考察ばっかしちゃうんだけど……
本当どうにかしてってぇ…

何度目だろうか、数えてないが十数回目くらいだと思う。
深くため息を吐いた。

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