第二十話後編2：ニセモノ家族 ページ29
雫視点
外へ出るとシディ兄と、今回参加しないと言っていたヒサ姉が居た。
どちらもなんとも言えない顔をしている。
カゲ「気付いていたのか？」
無表情で二人へ問いかける。
シデ「いや、単純に気になって来ただけだ。」
ヒサ「私は帰りにシディ見つけて…それで……」
なるほど、と相槌をうつが、あまり居心地がよくなく、なんとなく目を逸らした。
シデ「お前達はわかってたのか？」
今度はこちらが問われる。
いけない事をしてしまった時のように、自分から言葉がでてこない。
カゲ「別に。ただ写真のショータの怪我が気になっただけだ。」
カゲ兄が言い出してくれたので、有難いと思いながら同意見だと伝えた。
シデ「なんでショータはニセモノ家族の話を？」
カゲ「わかんねーけど、もしかしたら心配してほしかったのかもな。ホンモノ家族に。」
最もらしい考察だと思い、頷く。
ヒサ「そんなことしてまで愛されたいって思ったんだね。」
『……嫌な話ですね。』
どんなに心配してほしくったって、期待したって
シデ「それで？どうしたんだ？」
カゲ「もう虐待はしないと約束させた。」
その言葉に目を見開き、抗議する二人。
親から離すべきだ、と。
それに対し
カゲ「子供はそれを望んでいない。」
と一言。
でも、これが絶対あってると思えない。
シデ「お前の脅しで一時的に虐待を辞めてもそこに愛はない。なにかあってからじゃ遅い。一度離すのが正解だ。」
シディ兄はあってる。正しいと思う。
でも…それが絶対とは思えない。
カゲ「わかってるよ。けど、アイツは家族を守ろうとしたんだ。ソレを引き離すのは悲しいじゃん…！！」
どちらもあってる気がするんだ。
心は人を動かす。どんな理屈を重ねたって、心に歯向かうのは皆嫌だ。
『私は、絶対的な答えなんて分かりません。ただ…ただ、彼の幸せな人生を望みます。』
親から離す事で、彼が不幸になるなら自分はやりたくない。
…愛されて欲しいと思う。
シデ「暫くお前達が見張れ。」
カゲ「あぁ……
頼むぜ。」
夕闇に染まった空に、そこに神なんていないけど、静かに手を合わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽炎/蜃気楼(プロフ) - ゆずまる@低浮上さん» おお！久しぶり！！読んでくれてうれしいよ(*´▽｀*)感想も細かくて本当にモチベ上がる！読んでくれたり反応くれたり諸々ありがとうね！！ (2021年9月12日 11時) (
レス) id: 1167ac42df (このIDを非表示/違反報告)
ゆずまる@低浮上(プロフ) - 久しぶり！やっと読めたぁぁもうめちゃ最高で夢中で読んでた！雫ちゃんもどんどん心開いていってカゲたちもみんな優しいしもう最高！！これから反応とか遅くなっちゃうけど絶対読むからね！！ (2021年9月12日 8時) (レス) id: 8273c2e352 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎/蜃気楼(プロフ) - 星猫さん» 復習に関しては賛否両論ありますよね…雫ちゃんはお気に入りのオリキャラちゃんなので嬉しいです！！ありがとうございますm(__)m (2021年9月10日 20時) (レス) id: 1167ac42df (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 雫ちゃん可愛いです！私だったら、復讐しますね。 (2021年9月9日 20時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
陽炎/蜃気楼(プロフ) - ゆずまる@低浮上さん» リメイク前より人間不信になってるからね…(僕自身いつ頃になるかわからないというガバっぷり、早く開いてくれぇ…) (2021年7月5日 23時) (レス) id: c9ecb5a106 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽炎/蜃気楼 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/1210kagero1/
作成日時：2021年6月7日 23時
