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入学して1週間



だいぶ学校にも慣れてきた






私の耳には鉛筆の滑らせる音と




男子のサッカーしている声が入ってくる




入学式で一目惚れしたこの桜の木




今年で始めて描く絵はこの木がいいって決めてたんだ。



鉛筆を軽く持ってさーっと滑らせていく








「よっと、」









『わっ、』






目の前に急に現れた人。




びっくりしてしゃがみこむ



『だ、だれ?』






遠慮気味に見上げると綺麗に整った顔





「こんにちわ、!」







そう言ってニコニコ笑ってる






わー、イケメン。




少し茶色がかかった髪



くりくりした目




優しげな口元







「きみ、名前なんてゆーの」







『え、?』








急に話しかけられてびっくりする







『さ、笹本、さあや。です、』







「さあやちゃんか、」






涼太「俺、片寄涼太。高2!」





『片寄…せんぱい。』




涼太「そうそう、!」



片寄先輩はうんうん頷きながらにこにこ




涼太「さあやちゃん、入学してきてからずっとここに居るからさ、昼休み」





涼太「サッカーしてる時、気になってたんだよ」





涼太「何してるのかなぁっ、って!」





片寄先輩が私の絵をのぞき込む





『わぁっ、だめですっ!』




自分が書いていた絵を胸にしっかり抱きとめて



片寄先輩に見えないようにする




涼太「えー、なんでよ。」




『へ、下手なので!』






涼太「えー、少しくらい見せてくれてもいいじゃん、」





『だ、だめなんですっ!絶対。』





片寄先輩は拗ねたように頬を膨らませる





涼太「みーせーて」



『いーやーでーす』



涼太「おーねーがーい」




『だーめでーす』






2人でしばらくじゃれあっていたら






「おい、」




後ろから聞こえる低い声









「涼太、先生に呼ばれてる」





振り向いたら、






『あ、!』





思わず指さしてしまう




「なに?」





『黒髪のイカついひと!』



不意に出てきた言葉




涼太「え…笑、ふはっ、笑」




片寄先輩が横でけらけら笑い出す





あ、やばい。口が滑ったかも……、?






『いや、その、?』



言い訳しようとして顔を上げたら




怖い顔がもっと怖い顔


眉間にシワがよってこっちを睨んでる




「お前なぁ……、初対面でイカつい人はないわ」




『あ、あは、?』




「笑って誤魔化しても無駄。」

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作者名:片 寄 み る く | 作成日時:2018年10月7日 22時

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