episode.66 ページ19
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咄嗟に捕まえた腕の細さに少し力を弱める。
全くこちらを見ようとしない背中。
でもちらりと見えるAの耳は真っ赤。
「ねぇ、俺のどタイプも目の前にいるんだけど」
「い、や、な、その、え、あ」
言葉になってないモノを一生懸命喉から絞り出す様子がまた可愛い。
完全にはまってる。
どツボだ。
するしぐさ一つ一つ、放つ言葉一言一言、全部が好き。
「こっち向いて」
「あ、の、今顔凄い赤くて」
「いいよ、見して」
言われた通りにゆっくりこっちを向く真っ赤な顔が愛おしい。
何もしてない、向いてと言っただけなのに
律儀に自分からこっちを見てくるあたりがさらにそそる。
赤い顔に誘われているよう。
「そ、んなに見ないで…」
こことを決めて俺を一瞬見たものの目があった途端逸らす。
そのしぐさにため息が出た。
そのため息に、きっと何か悪いことをしたのかと焦ったんだろうAが困った顔をして
「誘ってる？」
俺は咄嗟に欲望を詰めた言葉を放つ。
違うと大きく首を横に振る。
ふぅ、落ち着け、落ち着け自分。
そんな急に距離を詰めすぎるとか、ガキじゃあるまいし。
もっと大人な恋愛をしようと心の中で深呼吸をする。
のに、
「誘われてる」
そんなこと言うから、そんな言い方するから。
はぁ、とその場にうずくまる。
「え、ちょ、だ、大丈夫？」
その後をすぐ続いて俺と同じ目線になるA。
「そんな可愛いこと言ってたら抱くよ」
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作者名：layla | 作成日時：2020年4月19日 21時
