My Dad!

dad.6 ページ6

･hiroomi tosaka･




｢昨日ね、学校でさ｣



そう言って話し出すA。


その顔は笑顔で、本物の笑顔で、ﾎｯとする。


あんなことがあってから、笑ってるAを求めるようになった。

俺も、桔梗も。


摂食障害ギリギリだったAのご飯はまだ少し少ないけど

それでも、楽しそうに笑ってるからそれでいい。


何も言わないのがきっと、楽だから。



Aが1番笑ってるのは家族3人揃っている時。

３人揃うと、いつも幸せそうに微笑む。


職業柄、3人揃うことは大分少ないけど

3人揃った時は、俺も幸せな気持ちでいっぱいになる。


それこそ、ライブと同じくらい。


Aの笑顔が一時期消えた時から

家族の笑顔が、どれほど大切か痛感した。


だからこそ、この時間を減らしたりしたくない。



｢えー！酷い！それでどうなったの？｣


｢だよね。でも、どうにもなんないし。酷すぎるよね。｣



悪口なのかなんなのか、笑いながら言ってるから酷いことではなさそう。


1番少ない量しか食べてないAも箸が進まない。

話しすぎ。


それは桔梗もおんなじ。

なんか、俺が2人の子供を育ててるみたい。



｢ほら、A食べちゃって。｣


｢んー、、もう要らないかな。｣


｢あと1口だよA！頑張れ！｣



俺の言葉に、諦めかけたAを立ち直させる桔梗。


小さく唸ったあとに、そのあとひとくちを食べたA。


この一口も、Aにとっては辛いことで

前までは、1口所じゃないほど残してた。これは成長。


こういう時は、飽きるくらい褒めてあげる。





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