My Dad!

dad.5 ページ5

Aは1度、壊れかけたことがある。


何も口にできず、誰とも口を聞かず。


忙しすぎる俺らへの不満と、色んなところからのストレス。

1人でいることへの不安。


全部、Aなりに今までで溜め込んでいたものなのだと思うけど

それらが、一気に発散された。


そんなの芸能人だから仕方ないなんて言ってしまえばそこで終わるけどそういう事じゃない。


芸能人だから周りと違うって言うのは固定観念。

俺らも同じで、もちろんAも同じ。


AはAなりにいつも俺らをのことを考えてくれてる。


考えて行動するようにしてくれてる。


俺らが、それに甘え過ぎてただけ。


だから、普通の子よりも、小さい頃から大人びた子供だと言われたんだと思う。



お茶を注ぎ終わったAが、こちらを見た。

最初は桔梗、次に俺と目が合って、小首を傾げる。



｢何？コップ、これじゃなかった？｣


｢んーん。それであってるよ。偉いねぇAちゃん。｣


｢でしょー。｣



お茶を冷蔵庫に片付けたあと、Aは俺の方を見る。

ﾆｺﾆｺと満面の笑みで“パパも褒めて”って。


頭の上に手を置いてやって、“超えらい”なんて言ってやれば

さっきよりテンションの高い“でしょー”が返ってくる。


Aが、ご飯の時に必ず使うのはお揃いのコップ。


安いところで買ったものだから

お揃いの人はたくさんいるんだろうけど、色違いのソレが一番お気に入り。


俺と、桔梗が出る番組全てチェック。


俺らって、娘に超愛されてる。


俺らも愛してんのよ。




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