My Dad!

dad.11 ページ11

･Hiroomi Tosaka･




｢ダディ｣



Aの口から零れた言葉。

弱々しく震えた声。


それが聞こえると同時に、俺の首に頭を乗せて抱きつく。


何か嫌な夢を見た時は、必ず小さい頃からこうする。


桔梗にも、俺にも。


ただ、する相手は俺ら2人だけ。


1番落ち着く場所なんだと思う。


ｸﾞﾘｸﾞﾘと頭を押し付けてきたから、頭を撫でながら背中をさする。

“うーー”どうなったあと、一瞬静かになってﾊﾞｯと顔を上げる。



｢おかえり｣



何かあったのは確実なのに、笑顔。


うーん…ここは大分桔梗に似たのな。

いや、性格は桔梗に似たところも多いけど。


こうやって、笑うことで誤魔化せると思ってる。

でも、その笑顔はいつもと違う。


そっくり。



｢ん。なんかあった？｣


｢…ナイ。｣


｢ほんと？｣


｢…ほんと…かな。｣



嫌な夢を見る時は、何かが起きた時に多い。


これが分かったのはAが幼稚園くらいの時かな？

一度、大泣きして泣き止まなくなって熱が出てと大変になった時。


医者に、に緒不安定になりやすいって言われた。


それは、小さいながらに色々抱えてるってこと。


これを溜めさせると、前みたいなことになる。

身をもって体験した。



｢なんの夢？｣


｢…言わないとダメ？｣


｢パパ心配なんだけど。｣


｢何も無いんだよ。｣



それが心配。


何も無い時にそんなんになるのって

Aがなにか悩んでる時が多いから。

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