Tear [登坂広臣] (ページ14)

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episode.14・Hiroomi.Tosaka ページ14

結局、話っていう話をしたのはそれだけで

そこから話が弾むわけでもなく、だからと言って光輝さんとたくさん話したってわけでもなく。

しかも、途中から黒い服着た男の人2人がAさんの隣に立って何か言った途端俺らから離れてったし。

っていうか、Aさんと光輝さん、妙な感じがした。

それがなんなのかって聞かれたらただの感覚的なものだから分かんないけど。

そのままお開き。

「……全然話せなかった。」

「Aさん？」

ちっさい声で呟いた俺の声も隆二は聞き取ってて、しかもなんのことかも分かってる。

さすが。

「でもほら、あのお嬢がAさんだとは限らないし。」

「絶対そう。断言出来る。ボディーガードいる時点で決まり。」

何よりも後ろ姿で一目惚れした俺が言ってんだから確実。

しかも、このご時世でボディーガードを堂々とつけてるお嬢なんてそうそういねぇし。

どう考えてもあの人。Aさん。

知れたのは名前だけ。とか、情けなさすぎか。

どうせならもっと攻めればよかった。

ガチで落ちるとなんの手も出せなくなる感じ。

見てるだけで目の保養だし。

「あぁ、、ほんと。やっちまった。」

ほとんど会う機会なんてなくなんのに、何やってんだ俺。

「まぁまぁ、運が良けりゃ撮影の時に会えるかも知んねぇじゃん？」

「あぁ、たしかに。」

その可能性があれば！だけど。