Believe [登坂広臣]

episode.5・HIRO ページ5

俺の目の前で少しイラついてる女

社長室で足と腕組むなんてお前くらいだよ。と笑って言えば

嫌ならやめる。と少し意地を張って見せるこの女



「零星頼むって。」

「無理。いや。やらない。最悪。何。私じゃなくてもいい。」



何を言ってもこぅ

まぁ、話しかけて話してくれるようになったのは成長だけど


これ、凹むよね


紹介し遅れたけど、目の前にいる女っていうのは桜野零星

いつの間にかLDHのsecret modelなんて言われるようになって

顔写真を出したこともないのに売れてる女


でも、俺は知ってる

なんでこいつが顔を出さないか

人と関わりを持とうとしないか

それは、こいつなりの防ぎ方



「零星トレーナーの資格持ってたでしょ？

それにダンスも歌も天才的でしょ？」

「……HIROさん、知ってるでしょ？私の昔話。

それに、LDHの人になんてリスク高すぎるし……

男と群れは……嫌いなの。」

「……ごめん。零星。俺も慌ててたから……。

零星の気持ち考えずに自分の意見言ったのは謝る。

ただ、三代目のダンストレーナーが白血病で倒れたんだよ。

ボイストレーナーは明後日から産休。

被って困ってて……ごめん。」



気持ちの焦りを謝れば、少しﾎｯとした表情になる零星

その後に白血病と産休か……と呟いた



「……私本当に顔知られてないよね？」

「うん。……え、まさか引き受けてくれるの？」

「……仕方ないんでしょ？…一定の距離とってれば……大丈夫だと思う……し。」



零星は無愛想で冷たく見えて優しくて甘えん坊

でも、優しいところも甘えるところも信頼してる家族と俺にしか見せない


零星の噂はあながち間違いではなかった

よく聞く噂は、俺が拾ったとか、俺がスカウトしたとか



「でも、、そんなヤツらではないけど

男には変わりないし七人いるよ？大丈夫って言いきれる？」

「……トレーナーが戻ってくるまででしょ？…それに、今ダンス見せてもらったの。」



零星は液晶画面をこちらに向け携帯をヒラヒラと振った


スカウトも間違ってない。さっき皆様が聞いたであろう岩ちゃんの解説は

ほとんど真実と変わりない。

でも、、そんなに軽いもんじゃない。こいつが背負ってるのは…



「どうだった？」

「まだまだ、、成長できるね。勿体ない。

……でもHIROさん？最初は一緒に来てね？…男は嫌い。」



男と群れる者を嫌う……人間不信に似たような…

嫌な過去……

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