Believe [登坂広臣]

episode.12・Hiroomi.Tosaka ページ13

メニューを聞けば

途中まで全員でトレーニング

それからボーカルは抜けて零星さんはボーカルとパフォーマーを見てくれるらしい

それに、凄いことにアップで走る場所は外

外でのトレーニングも取り入れられているらしい

きちんと考えてくれている零星さんは人が全然いない近くの公園を紹介してくれた


と、そんな事言ってる場合ではない。

アップを始めたはいいものの捻挫した所が響く

足をつける度に電流が走るような感覚

ここ2日間、トレーニングもボイトレしかしてなかったし

歌番組もなかったから分からなかったけど


捻り方がかなり悪かったらしい



「臣大丈夫か？」

「大丈夫…です。」



心配してくれたのか健二郎君からの質問



「大丈夫じゃなさそ〜！」



今市氏が苦い顔をして俺を見てくる



「いや、そんなに？」

「うん。ほんと、痛そう」



まぁ、呑んでそのまま寝て面倒くさくて処置もせずにいた俺が悪い

……このめんどくさがりやなの直せないかな…？


走るのもそぅだが、今じゃ歩くのも痛い


癒しの零星さんの目の前を走れる所まで来た途端



「登坂さん。」



と、彼女に名前を呼ばれた

……え、名前を呼ばれた？…なぜ。



「なんすか？」

「……ここ座って待っててください。そんな足で走るなんて考えないでください。」

「あ、バレてた感じですか？」

「準備運動の時から……。」



話せるチャンスかと思いきや

かなり話したくないらしい。そんなオーラが見える

それに、さっきまで座っていたベンチに俺が座った途端

ベンチから立ち上がって距離を置かれる


何。嫌われるようなことしたっけ？

ちょっと、、かなり傷つくんだけど……



「トレーニングルーム戻った時、処置させてもらうんで。動かないでくださいね」

「あ、はい。」



……すっげぇ嬉しいけど

こんななんともいえない空気が続くのは辛い


まず、好意を持ってるのは俺の方

勝手に一目惚れなんかして好きとか言ってるけど

会って間もない相手が俺に好意を抱いてくれてるはずもない


……だからこそ、今とかチャンスなのに

HIROさんから言われた言葉が頭を回るし

…避けられてる気がする。


HIROさんは今仕事中

俺らが中に戻った時また来てくれるらしい


暫く零星さんの横顔を見ている

風の流れに沿って流れる髪がなんともいえない美しさを放ってる

瞳が反射で輝いている。中に輝きはなかった



───────その瞳が見ている過去をまだ、知らない



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