Believe [登坂広臣]

episode.11・Hiroomi.Tosaka ページ12

自己紹介をした零星さん

年齢も何も言わずに堂々として見える



「昨日も言った通りだから、よろしく。」



HIROさんはそう言って部屋の椅子に座った

それを目で追っていた零星さんは少し緊張した雰囲気を一瞬放った

……ほんとに一瞬。

緊張を隠してるのか、スグに元の雰囲気に変わる



「……皆さんの今までのトレーニング方法や中身を見せてもらいました。

今までのものも使いますが、それに付け足したり

教え方が今までと変わったりします。環境の変化に焦るかも知れませんが

焦らずゆっくり覚えてくれたらいいです。

…………それじゃあ、始めるんで準備運動お願いします」


クリップボードを持って始めのコールをかける零星さん

俺達が運動し始めた途端HIROさんの元に行って何かを話してる


……HIROさん、零星さんとどういう関係ですか。近すぎません？


なんて、HIROさんに嫉妬してる俺

嫉妬にたどり着くまでが早すぎる気がするのは

こんなに好きになった人が今までいなかったからだろう

一目惚れなんてあるわけないと思ってたのに。

準備運動しながら零星さんを見てると髪をポニーテールに結っている

見られていると思うはずもなく

ゴムと髪の束を持っている彼女は完全なる無防備だ

またその一瞬だけは穏やかな雰囲気が顔を出している

それも一瞬

……そんなに警戒されてるのか…

全然彼女自身が見えない


すると、またHIROさんに近づく零星さん

ｺｿｺｿと話しているのがまた気に食わない……



「臣顔やばいから。」



ﾎﾞｿｯと隣で隆二に耳打ちされる



「は？」



あれ、こんな低い声出て……俺どんだけ不機嫌



「www嫉妬するの早いって。しかも相手HIROさん」



呑気に笑ってるけど、こっちはそんな余裕ないっつーの


───────好き


この感情を受け入れるのに時間なんてかからない

ただ、時間がかからない分

自分のモノにしたいという欲が俺の心に住み着く時間もかからない


───────一目惚れとは、厄介だ



「……隆二、俺やばいかも」

「見てたらわかるけどね？w」

「一目惚れした人が、外見に惚れしたんじゃないんです！って言ってる意味が分かった」

「そんな事言う人いる？」

「姉貴の昔の恋人」

「なにそれwwいつ時代！w」

「……大分昔。結局別れたけど」



そんな話をして笑って準備運動も終わり

今さっき好きになった彼女に今日のメニューを聞きに行く

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