episode.8・Hiroomi.Tosaka ページ8
ピアノのCDはあって、練習とかはそれを使ってた。
ただ、レコーディングとなると、この人も生で演奏するからまた違う。
もうひとつ言えることは、久しぶりのピアノだけの恋愛曲。
ライブでのピアノ伴奏はかなりありえる。
だからこそ、ピアノに俺らが負けるわけには行かないわけで
「もっと上げるためにはどうしたらいいんすかね」
って隆二も燃えてる。
俺だって、大好きな歌だし、しかもその仕事だし
どんな嫌な性格したやつでも本気で楽しむことは出来る。
隆二にアドバイスしたあとは俺に向かってくる。
「歌声が不安定。聴いてて心配になる。」
「さっきのフレーズ?」
「そう。そういうのは、意外と聞き手にも伝わりやすい。恥ずかしいよ。」
確かに少し高低差があるし、そこに加えて細かく半音注意したのあんただけどね。
って、心の中では悪態つけるけど言われてることはご最も。
聞き手に伝わりやすいのもその通り。
少し声の調子悪かったりすると、心配してくれるメッセージがよく届くし。
半音についてだって、どう考えても言われたとおりにしたら変わった。
だからこそ、ここで余計な反応しても自分が幼稚なだけ。
そのまま隆二んとこ戻って“さっきより良くなった”と真顔で伝えてる。
なんかこう、、もっと感情表に出せないもんかなって。
肩の下あたりまである髪が乱雑に結ばれてるのが目に入る。
……でも、髪の手入れはちゃんとしてるみたいで綺麗。
黒い髪がゴムの中で窮屈そう。
そんなふうに考えながら、自分はこれ以上この女に何も言われないようにと試行錯誤。
・
episode.9・Hiroomi.Tosaka→←episode.7・Hiroomi.Tosaka
391人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Layla x他1人 | 作成日時:2018年4月5日 14時