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episode.27 ページ28

「・・・」



Aさんの無言。


俺が歌ったあとの出来事で少し焦る。


え、変なとこあった?

だいぶ上手く歌えた自信あったのに。


ダメなとこあった?



「えっと・・・Aさん?」


「うん、今までで一番よかった。」



は、嬉しんだけど。


今までちゃんとほめられたことなかったのに。


今までで一番とか。



「それを、何回も練習して自分のものにして。

綺麗な高音持ってるんだから、もっと生かしてね」


「え、待って。もっと褒めてくんない。俺、褒めて伸びるタイプだからさ」


「よし、じゃあ、次ぐ行こう」



…綺麗な高音とか思ってくれてたんだ。


確かに、最悪な出会いを遂げたあの日

さりげなく高音を褒められた覚えがある。


そうなんだよな。


どんだけ悔しくてもどんだけうざくても

この人は良く見てる。よく聞いてる。


どんな些細なところでも見極めて

聞き分けて的確な指示を出す。


感覚的なものかもしれないけど分かる。


この人についていってさらに自分の個性を磨けば

さらに俺達は上手くなる。


だから、どれだけ腹が立ってもボイトレに来ちゃうんだろうな。


それに中毒性がある。

一緒の空間にいたいっていうか…。


いや、今のなし。


歌いながら何考えてんだ俺。


そんなのほんとに俺が惚れてるみたいだろ。


あくまで本能に抗いたい。


嫌なんだよ。

絶対落ちそうにない相手落とそうとするの。


あぁ、でもやっぱ、こんなこと考えてる時点でアウトか。





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作者名:Layla x他1人 | 作成日時:2018年4月5日 14時

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