Stay with me [登坂広臣] (ページ19)

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episode.18・Hiroomi.Tosaka ページ19

｢停電大丈夫でした？｣

その質問に、“全然大丈夫だった”って普通に答えられるのは

朝より彼女を信頼しちゃったから。

全然なんてついたのは多分、ちょっと楽しいとか思っちゃってたから。

あの表情がどうしても気になる。

女の過去に何があったのかとか気になんのは相手に気があったりする時で

でも、朝あんだけ毛嫌いしといて夜ちょっと話しただけでそんなんは

俺の余計なプライドがありえないと叫んでる。

ほんとにちょっと話しただけで

別に彼女の何かを知った訳でもないのにそんなんはきっとない。

少しギャップがあって、少しときめいただけ。

さっきの停電だって、吊り橋効果に似たものの錯覚があったのかも。

ほんの少し、しかもシリアス全開なあの会話で好きになるなんてありえない。

でも、この世には一目惚れなんて言葉だって存在してるわけで

“俺、この人と結婚する！”って初めてあった人に思って結婚してたりとか

そんな衝撃的な話だってある。

一目惚れがあんなら、そのちょっと先の好意もあんのかも知んねぇし。

いやいや、まずなんで“好き”になった前提だよ。

超減らず口の天才ピアニストじゃん。

ちょっと美人だとかスタイル良さげとか、そんなんの前に減らず口なの。

わかってる？俺。

でも、あの横顔を見た時に守りたいと本能が言ってた気がする。

っつか、正直にいえば思った。自分が。

吊り橋効果だと思い込んでっけど

吊り橋効果って言葉が出てきてる時点で、好意がAさんに向いちゃってるってこと。

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