episode.1・Hiroomi.Tosaka ページ1
楽屋のテレビはつまらないニュースがやってる。
だからってどうとかじゃないんだけど。
今日1日の最後の仕事まであと30分。
もちろん1日なんて言いながらももう０時はとっくに過ぎてる。
から、眠い人は寝てるし寝てない人は自由に過ごしてる。
まぁ、もう少しで起こさなきゃなんねぇんだけど。
俺は自由に過ごしてる側で、携帯に目を落としながらﾁﾗﾁﾗとそのつまらないニュースを見てる。
明日の天気はもう何回も聞いたし、
政治の話も相撲の話も、今人気のカフェだって他の番組やニュースと同じようなことを言葉を変えて伝えてるだけ。
ただ、楽しそうに紹介してた雰囲気が一気に変わって“皆さんは覚えているでしょうか。”なんて堅苦しく言い出した。
「24年前に起きた、放火事件。今年で25年目で、公訴時効となります。
いかにも放火された痕跡の残った1軒の家、周りの家はほとんどの人が留守で
その1軒の家に住んでいた夫婦と子供が火事に巻き込まれた事件です。」
そんなことあったっけ？なんてニュースを聞いてれば、“あぁ、よく取り上げられてたよね〜”って言った直人さん。
24年前っつったら？俺が7歳とか？
そりゃ覚えてないって。
直人さんだって10歳とかじゃないの？
「毎年言われてんじゃん。犯人が捕まってないから。」
その事件があってから24年間見てきたニュースで記憶に残ってない。
多分、見たことあんだろうけど。
「その犯人の映像がこちらです。」
「……映像あんの？んじゃ捕まってんでしょ。」
でも、出てきた映像は暗い夜道、よく見ないと誰もいないようにも見える道を歩く真っ黒な後ろ姿。
たしかに、見つからないのも分かる。映像もかなり古い。
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作者名：Layla x他1人 | 作成日時：2018年4月5日 14時
