Believe Ⅶ[登坂広臣] (ページ49)

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episode.327・Hiroomi.Tosaka ページ49

「だよね。分かるよ。」

でも手伝って。って言った零星に、リップマニア？とか聞いたら

多分そんな感じ。って返ってきた。

今更分かった零星のもう1つの個性。

昔からリップいっぱいなのは知ってたけどここまでとはね。

「これは？」

黒に金の縁がついてる蓋のスティック。

「これはね、こんな感じ。」

ｶﾁｯと蓋を取って色を見せた零星

赤っぽいけど赤過ぎないピンクじゃない色。

「朱色に近いかもね。」

「これ付けて。」

そう言ったら、自分の唇にリップを当て始めたけど待って。俺やりたい。

「ちょ待って。俺する。貸して。」

何言ってんの？とでも言いたげな表情は読み取ったけど、知らないふり。

零星の手から奪い取って零星の後頭部を抑えてリップを塗る。

俺だってメイクはされるし、こんくらいはできる。

俺が塗りやすいように上手く口を開いてくれた零星の唇に綺麗な色が乗る。

塗り終わってすぐに、零星の唇に自分の唇を乗せた。

静かに零れる零星の吐息にｿﾞｸｯとしながら、甘くて少し長いキスをしてたのに

零星は俺から離れた。

「何。」

まだしてぇんだけど？って顔をしてるだろう俺を見上げて、とれちゃったでしょ！！！って

唇を指さして叫んだ。

「俺の口に付いた？」

「うん。……もー！洗いに行こう。」