Believe Ⅶ[登坂広臣] (ページ45)

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episode.323・Hiroomi.Tosaka ページ45

俺の口から勝手に出た質問に戸惑った零星。

「……どした？」

なんか言ったっけ？なんて思い返してもなんにも気に触るようなことを言った記憶はない。

どうしようかと一瞬目を泳がせてから

小さな声で、“お兄ちゃんはなれたの。”と言った。

口も動かしてるのかわからないくらいに小さくて少し低い声。

「色んな人に言われた。こっちの世界へこいって。将来なんとでもなるくらいの実力。

音楽界では期待の星。お兄ちゃんも好きな仕事が出来るのは嬉しかったはず。

……でも、その夢を壊したのは私。」

あぁ、だから。

この前の車ん中での言い合いの話……あんなに不安そうにしてたわけだ。

零星の瞳には戸惑いの色。焦りも不安もあるけど、後悔の色が強い。

「たまに思うよやっぱり。私がちゃんとしてたらお兄ちゃんは夢を叶えられたのかもしれないし

自分勝手が招いたことなのに、お兄ちゃんは怒ろうともしないし。

まぁ、この前言われて傷ついたのは確かだから……言ってほしい訳でもないけど。

っていうか、1年以上離れといてよく言えるよね。って感じかもしれないけど。」

結局この二人の兄妹愛に俺が心温まる。

その前に、この前聡さんが言ってたことを零星に伝えたい。