Believe Ⅶ[登坂広臣] (ページ29)

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episode.307・Hiroomi.Tosaka ページ29

でも多分。

やっぱり、隆二だから嫌だと思ったのが一瞬だった。

今もこうして割り込めないでいるのは、俺が隆二を大好きだと思ってて

同時に尊敬してる仲間だからだと思う。

他の、零星にただ好意を向けてるだけの人だったらまず視界に零星を入れたくない。

でも、隆二は自分から家に連れてきてる。

会うのなんて当たり前だし、寝顔だって見られる可能性は高いし。

もしかしたら、どこかで、隆二にすっきりして欲しかったのかもしれない。

「全然、気付けなくてすみませんでした。私なんかに好意を抱いてくれてありがとうございます。」

苦しそうに聞こえた零星の声。

隆二の気持ちになった時、どう言えばいいかわからなくて

だけど、どれだけ辛いのかは感情移入できてるんじゃねぇかな。

「一つだけ聞いていい？」

隆二の言葉に、多分零星は微かに頷いた。

隆二は質問を続けたから。

「もし、あの日、初めてあった日、俺が臣の所に立ってたら、俺が捻挫してたら……

最初の頃の臣が俺だったとしたら……零星さんは俺を見てくれた？今の臣と零星さんみたいに、俺といられた？」

さっき言わないで。って言われたから言い悩んでるのか、

それとも、答えが分からないから声を発さないのか分からないけど

答えない零星。

「大丈夫だから。俺は2人をどうこうしようなんて思ってないし。

ただ、この質問には答えてほしい。……俺に希望はあった？」