Believe Ⅶ[登坂広臣] (ページ28)

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episode.306・Hiroomi.Tosaka ページ28

そのまま2人で呑んでる。

あの時のライブはどうだったとか、これからのライブでこんなことしたくね？とか。

「ちょ、トイレ行ってくるわ。」

急にきた。

トイレから出てドアを開けようとしたら聞こえてくる話し声。

テレビかとも思ったけどつけた記憶が無いし、この声は紛れもなく零星と隆二の声。

悪い事だとはわかってても、無意識に立ててしまう耳。

「…ごめんなさっ、私、」

「んーん、なんも言わないで。お願い。もう分かってるけど言葉にはまだされたくない。

最初から答えはなんとなく見えてたし、零星さんの目に映るのは臣でしょ？」

さっき、自分の想いを伝えたんだな。ってすぐに分かった。

そりゃそうだよな。気持ち伝えてスッキリくらいしたいよな。

一瞬でも伝えて欲しくなかったと思ったことがある俺自身に腹が立つ。

ただ、分かってるのは、それだけ零星が俺から離れてくのが怖かったってこと。

そんなこともうぜってぇない。そう分かってはいるけど、それじゃあそれを証明するものは？

ってなってきたらひとつもない。

もしかしたら、これからは見つかるかもしれない。婚約指輪や結婚指輪も。

でも、今は俺が零星を抱きしめてるだけでそれ以外は何も無い。

そのことに対しての不安が大きい。