【歌い手】雨、咲かせ。【まふまふ】 (ページ3)

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MFMF side

カチカチとキーボードを叩く音が部屋に響いた。

ぼんやりとしたPCのブルーライトが僕を照らす。
そんな僕は椅子の上で体育座りをして、ギコギコと音を鳴らしている。
...そろそろ椅子も買い替え時か。

昔から、親に「物は大切に扱いなさい」と言われていた。
こうやってしっかり教えてくれる親が、好きだったし誇りだった。

ただ、大人になった今考え直すと、全部大人の都合だったんだ。

物を壊すなと言ったのは、僕の為にお金を使うのが嫌だから。

音に触れるなと言ったのは、僕が勉強以外をしないように。

褒めたのは、僕が言葉に乗りやすい性格だったから。

何だ、簡単なことなんだよ全て。
こんなことで一喜一憂してた昔の僕に、一言告げてやりたい。

「騙されてるぞ」と。

ふっと画面が暗くなり、真ん中にNow Loadingの文字が鈍く光っている。

僕はふと、不思議なことを思った。
このパソコンの画面の一画面は、まるで人のようだ、と。

眩く光り輝けるのは極一部の人間だけで、一寸先は闇。
まるで、現実の様に闇が広がるだけ
夢なんて見ていられない。

そして更に、そう足掻く人間を一歩引いてみている人間がいるはずだ。

まるで、僕らは手の上で転がされてる...。

嫌、ジオラマの中で遊ばれてるだけなのかもしれない。

勿論、考え直すとキリが無い事なんて解っている
何度も同じことを考えてるけど、未だに答えに辿り着かないから。

経験上、当然の事だった。
慣れっこ、ってやつ。

もう良いんだ。
幾ら知識を重ねも成果なんか出やしない勉強はやらなくていい。

大好きな音楽を職業にして、ゲームして友達とご飯食べて、聴いてくれる皆の前で歌って。

...こんな毎日が好きで好きで堪らなかった。

ずっと続いていれば良いと何度も思ったし、その為にどうしたら良いか何て
脳みそが無くなる位まで考えた。

辿り着いた答えはひとつ。

この毎日を続けるには、僕が護り抜くしか無い。