9 ページ11
SRR side
俺は、彼奴の歌の魔法が解けた瞬間に駆け出した
心なしか頭が痛くて、視界が歪む。
ふらふらした足取りで、でも一歩一歩地面を踏んで、彼奴に近づいた。
「真冬!!!」
そう叫んでも、彼奴は虚ろな目をしたまま気付かない
... 視界の端では泣き崩れる坂田と、悔しそうに俺を見つめるうらた。
それがまた
苦しくて悔しくて、俺は真冬を抱き締めた。
「まふゆ、ッ」
「え、彼方さ、ん?」
「お前何してんだよ!!」
... 泣いたらダメだ、坂田にもうらたにも示しが付かないから。
真冬は、俺の剣幕に驚いた様に目を見張り、一回俯いて
顔を上げて微笑んだ。
「
って、真冬はそう言ったんだよ。
「真冬、もういいよ。無理すんなよ、」
「えぇ、無理なんかしてませんよ?」
確かに、いつもの真冬なんだ
何時も通り、人気者の、相川真冬。
でも、それが何か可笑しくて
その何かがわからなくて、もどかしくなって
真冬の、茶色の澄んだ瞳を見て、
「あ、あ...ッぐ、まふゆ、ッぁあ、」
気付いた。
真冬の茶色い瞳は、澄んでなんかなくて
霞んで、濁りきってた
なんで今更気付いたんだ、もっと早く彼奴からのSOSに気付いてやれればこんなことにはならなかった筈で。
幾ら俺が内心で後悔しても
何時もの様に きょとん と首を傾げてる真冬の澄んだ瞳は戻ってこない。
真冬を守るって、確かにあの時約束したのに。
約束さえ守れなくて、沢山傷つけて
「なぁ、真冬。こんなボロボロの騎士はもう嫌?」
「...そんなこと、ないですよ。そらるさんがいいんです、」
「そう、」
じゃあ、
「帰ろうか、真冬。」
目の端に一瞬、” 白 ” が過ぎった気がした。
143人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱか - 気になる… (2018年6月3日 15時) (レス) id: 2edc2cd451 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 引退は悲しいです。。 (2017年9月16日 10時) (レス) id: 0e9f2c2ac5 (このIDを非表示/違反報告)
美音-ミオン-(プロフ) - スイさん» ありがとうございます!気持ち一新してがんばりますね〜〜(^-^) (2017年4月9日 1時) (レス) id: 4c59225279 (このIDを非表示/違反報告)
スイ - 続きめっちゃ気になります!待ってるので、頑張って下さい! (2017年4月8日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
美音-ミオン-(プロフ) - CORITTK2さん» ほんとうですか!!ありがとうございます(^-^)とても嬉しいです…!!! (2017年1月8日 3時) (レス) id: 64c8fbc552 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ