Eight ページ10
見られたくなかった。
それが、正直な感想、
傷だらけで、痣だらけで。
醜い私なんて、見られたくなかった。
「はな、どうしたの?もしかして、」
「そのまさか、よ。」
「ッ、」
そらるは驚いたように目を見開くと、座り込んでいた私を抱きしめてきた。
「そらる、ズボン、砂ついちゃうわよ。」
「そんなこと、関係ないッ」
「ねえ、そらる、痛いよ」
「…なにが?」
「心が、体が、頭が痛い。」
「、」
そらるの腕に、力が篭った。
もう、苦しいってば、
そんな言葉は出なくて。
ただひたすらに、溢れそうになる涙を堪えた。
目に力を入れて、
そらるの肩に顔を埋めて、抱き締め返して。
「...A、泣かないで。」
「な、泣いてなんか、ッ、」
泣かないで、そう言われて、一粒。
瞳から水滴が溢れた。
ぽろり、ぽろり。
その水滴は、止まることなくて。
「そ、そらっ、る、」
「ん、なあに。」
そらるは、私の言いたいことなんて解ってる。
そう言う様に、優しく私の背中を撫ぜた。
「たすけて____、」
「もちろん。」
そらるは、抱き締める力を緩めて、私の顔を覗き込んだ。
「俺は、Aの王子様になるよ。
いや、王子様って言うより、
そう。
姫__...Aを護る、騎士になるよ。」
そらるはそう言って、優しく私の手の甲にキスをした。
手の甲へのキス、意味は ”敬愛”
119人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ