焦がれた背中、焼きついた瞳 (ページ26)

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・解呪ページ26

五条side
「あれはない。」
「ないですね。」
「俺ちょっと先生のこと見そこなった。」
「え、？」
Aが去った後すぐにそういわれた。
「これまでああやって接してきたわけだし、今更どうしろっていうのさ。」
「ガキだな。」
「クズですね。」
「重症だわ。」
「ねぇ、今鞍馬さんが泣きそうな顔して出ていくの見たんだけど、五条あんたなんかしたの？」
「え、野薔薇状況分かってないのに僕を疑うの？」
「あんた以外に誰が居んのよ。」
「あの、鞍馬さんどうかされたんですか？」
珈琲を何杯分かまとめて持ってきた伊地知も乱入。二人に悠仁が状況説明をする。
「うわ、最悪だわ。」
「・・・五条さん、珈琲お待たせしました。」
「そもそも、二度と姿を見せるなってなに？あんた何様よ。」
野薔薇が静かに怒ってる。これはガチの奴だな。
「最強術師だか何だか知んないけどあんないい人泣かせるなんて最悪。」
「なんでお前が泣きそうなの？釘崎？」
「虎杖お前は黙ってろ。」
この四年で初めて野薔薇が泣きそうになってる。
「まぁ、落ち着け釘崎。五条、お前が仕事や京都での用事にいそしんでいるのかA先輩から逃げていたのかわからない時期に私と釘崎はあの人と人一倍話してきた。だからどうかっていうのはみなまで言う気はないが、あの人毎日『五条様は今日も任務ですか？怪我はされていませんか？食事はちゃんととっていられますか？』って聞くんだ。彼女はお前のことばっかり気にして自分の気持ちを優先できていない。これはお前のいう自由ではないんじゃないのか？」
僕が彼女を縛っている。罪悪感以上に幸福感を感じてしまう。
「・・・鞍馬さん夜になると毎日高専の入り口のところに行って泣いてましたよ。」
恵みがそういう。
「あ、それ俺も見た！声掛けたら『もしかしたら五条様が帰ってくるかもしれないから待ってる。』って言ってた。心配だから気づいた時は一緒にいたけど、ずっと高専時代の先生の話ばっかりするからびっくりした。」
「・・・私から言うことではないかもしれませんが、鞍馬さん学生時代も五条さんから連絡があるまでずっと校門で五条さんのこと待っていらっしゃいましたよ。」
知らない彼女が僕のことばかり考えている。
「いい加減素直になれや、最強の風上にも置けないようなことしてんじゃないわよ。」
「菓子は待っといてやる。いってこい五条。」
「うん。」
歪みを伸ばす時が来たのかもしれない。そう思った。