焦がれた背中、焼きついた瞳 (ページ19)

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「愛ほど歪んだ呪いはないね。」
そういう彼の背中はかつてないほど寂しそうに見えた。
「貴様に何が分かる。五条悟。」
そういいながら”針”が彼に向けられる。
「わかるよ、呪いたくなるほどくるってる愛は。」
そういって攻撃を無限でよけていく。
「ならば・・・・「虚式”茈”」」
そうして呪霊は払われた。鞍馬家の数百年の苦闘が終わったのだ。ただ立ち尽くす彼を見て、私も立ち尽くしていた。

五条side
呪霊を払って虚無感に襲われたのは初めてだった。いや、それ以上に呪霊の気持ちが理解できたのは初めてだった。自分はこれほどまでに愛しているのに、裏切られたようにそっけない態度をとられることがどれほど悲しく、つらく、呪いたくなるのか、痛いほどわかる。
後ろからドサッと何かが倒れる音がした。疑う余地はない。Aが倒れた。慌てることもなく彼女に近づいて仰向けに寝させてから上半身を抱えた。あいつに破かれたんだろう。ほとんど上半身は裸に近く、攻撃を食らい続けたせいだろ、つけていたパットもほとんどないに等しい。ジャケットを脱いでAに着させて、横抱きにして東京の高専に飛んだ。
「硝子・・・。お願い。」
「死んだ顔するな。わかっている。」
傷ついたAを硝子に預けて職員室の椅子に座る。目隠しもしたまま手を腹のあたりで組んで天井を見るように顔を上にた。
倒れている彼女を見たら怒り狂うのではないかと思っていた。
でも冷静で居られた。
いや、冷静ではなかったな。死んだら僕のものにできるって思ってしまった。
「愛ほど歪んだ呪いはない、か。われながら名言だね。」
序章気味な声が静かな夜の職員室に染みわたる。静かに朝を告げる日が昇りだしたころ、ただただ深く濃い影が職員室に降りていた。