焦がれた背中、焼きついた瞳 (ページ17)

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「確か、鞍馬家はここ最近になって五条とかいう家に仕えだしたな。その家の者と貴様の家の者すべて殺してしまおうか。もちろん貴様は生かしてやる。そうでなければ面白くない。」
あぁ、やっぱりそう来るのか。せめてこいつに人を殺せる力が残らないように闘わなくてはならない。
覚悟を決めて術式を発動させる。
『針』
鋭い風が呪霊に突き刺さる。普段ならそう。
「こんなそよ風に妾が屈するとでも？」
空前の灯のごとく萩祓われ反撃を食らう。
「これが本物だ。小娘。・・・針。」
全身に何かが刺さったと感じたときにはあちこちから出血していた。
『・・・っく。』
「あぁ、女の顔をゆがめるのは気分がいいな。」
そこからは怒涛の術式合戦となった。私が出した術式をそのままに威力を上げて私にぶつけてきた。鼻からかなわないことはわかっていたがすこしでもこいつの呪力を削っておかなければ大切な人たちの日常を奪ってしまう。幸せを壊してしまう。それだけはだめだと、死に物狂いで術式を発動する。
『竜巻』
「なんだこのそよ風は。妾の術式を継いでおきながらこの程度とは嘆かわしい。・・・竜巻。」
渦を巻く風の中に閉じ込め中に入ったものに斬撃を与え続けるのがこの技だ。
『ぎゃぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ』
「いいぞ、女が泣き喚く姿はみものぞ。」
痛い、痛い、痛い、もう嫌だ。
『揺り籠』
大きく丸い風の玉が私を包み込む。
「そんなもので抜け出したとしても、貴様にはもう反撃する力は残っていないだろう。ここまで来て命が惜しくなったか？」
『そんなことはありませんよ。ただ、私より強いとは言ってもこの程度かと思って攻撃を受けるのが馬鹿馬鹿しくなっただけです。』
「殺す。」
そういって容赦ない攻撃が続く。私は揺り籠で必死にその攻撃をよけるが、呪力も限界に近付いてきた。どれほど時間がったったのかもわからない。あちこちに切り傷や刺し傷が増え出血量もかなりある。
夜の空を見上げこれで最後かと思った時、夜の暗さとは違う暗さが空を覆った。帳が下りたのだ。
「なんだこれは？まぁ良い。本当は生かして地獄を見せる予定だったが、変更だ。これで終わりだ。」
誰が帳を下したのか、何故なのかそんなことを頭の片隅に思いつつ、次の攻撃はもうかわせないと体がそう反応しているのが分かった。
「最後に言い残すことはあるか？」
『・・・何もない。』
「寂しい奴よ。」
「僕はいいたことあるんだけど。」
空を写す視界の端に懐かしい影が映った。