第5話・・・ ページ6
Aは元々、嘘をつくのが下手であった。それは昔から一緒にいるモトキや、その他のみんなも知っていることだった。何事にでも正直なのがAのいい所であり、たまには悪い所でもあったのだ。
「そうだよ」
呆気に取られるマサイ。もう一度Aを凝視した。なぜ浮気をしているのか、誰としているのか、シルクだろう、俺になにか不満があるのか。そんな問いも虚しく消えて、マサイが感じ取ったのはAが堂々としている不気味さだった。不思議と正当化されていくような気がして慌てて問いただす。
「どうして・・・」
言葉足らずなのは分かっている。ただ、様々な意味も込めてそう聞いた。Aは矢張り、笑っている。
「マサイが嫌だって言うならやめるよ」
違う、聞きたいのはそんなことじゃない。ちゃんと普通に怒って、ハッキリさせなければならないのに。
マサイは目の前にある独占欲を手に取ってしまった。
「嫌だ。ずっと俺だけといて」
Aの冷たい肌を撫でて抱きしめる。こぼれた涙はAが拭った。
「わかった」
優しさだと勘違いしてもいいだろうか。ごめんね、の一言でもあればマサイは一時期の気の迷いだと錯覚できたはずだった。自分自身を納得させられないまま、また溺れる。
マサイはAの服の中に手を伸ばした。ゆっくりと上に伝って脱がす。うっとりとしたAの顔を見て、首元に顔を埋めた。
「・・・好きだ」
Aは満足そうに微笑んでからまた、抱きしめながら頷いた。
「私も」
そのままマサイがAを押し倒す。余裕のあるAに比べ、マサイは吸い付くように何度もキスをする。それに反応するAが愛おしくてたまらない、という風に。
「もし・・・」
Aが息を荒らげながら声を出した。マサイはちらりとAを見る。余裕のなさそうなAを見下げて満足した。
「また、私が浮気したら・・・ぁっ」
小さく鳴くとまたキスをした。
「私のこと、殺してくれても構わない」
マサイはゆっくりと、頷いた。
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のんのん - 作者様お願いします。早く更新してください! (2019年5月13日 3時) (レス) id: 37d0aedc72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2018年4月21日 23時