君と僕で愛。【Fischer's】 (ページ5)

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第4話・・・ページ5

夜道を1人、歩く。Aはマサイの家に向かってバス停からマンションの間の道のりを進んでいた。街灯もまばらにチカチカと点滅していて、不安を煽る。この季節は昼間との温度差が激しく、薄着だったAは少し寒さを感じていた。

マンションにあるマサイの部屋の前に立つと、インターホンを鳴らした。数秒後、鍵が開く。マイク越しに賑やかな声が聞こえてきて、中には皆がいるということがわかった。
「こんばんは〜･･･」
リビングの扉を開けると、みんなは一斉に振り向く。シーンと静寂が響く。だが次の瞬間に元通りのような陽気な声が飛んできた。
「おー！A！」
「久しぶりだな」
「彼氏の家にきたやつじゃん俺ら邪魔じゃん」
ンダホ、ダーマ、ぺけの順で話し出す。シルクとマサイとモトキはその様子をニコニコと微笑みながら見ていた。
「A、おかえり」
マサイが両手を広げて言った。Aは少し視線を逸らしてから恥ずかしそうにその胸に飛び込んだ。ぎゅっと抱きしめられる感覚は心地よかった。
「ただいま」
他のメンバーははやしたてるように野次を飛ばす。それからマサイとAは離れて、座った。
「そっか、同棲してるんだもんね！」
「俺ら帰ろっか、ガチでの方で･･･」
「その方がいいよ」
「そうだね。じゃあな、マサイ」
マサイは次々に立ち上がるメンバーを見送るために玄関の扉を開けた。シルクも立ち上がって言った。
「またな」
「おう」
マサイはじっと、シルクの目を見つめた。何か言うことがあるのではないか、というような意味を込めて。しかし、シルクは首をかしげて、それから不器用に微笑んでから廊下に出ていってしまった。

「A。話がある」
リビングに戻ってから、Aとソファに横並びになった。しっかりとAの目を見て話す。
「なに？」
依然として柔らかく微笑む。マサイは今から問いただそうとしていることが現実ではないような気がしてならなかった。いや、現実であって欲しくないという願望のせいもある。
「A、正直に答えて」
Aは目を伏せた。その仕草に意味はあるのか、と気になって、緊張して唾を飲み込む。急激に乾いた喉に違和感を覚えてから振り絞る声を出した。
「浮気してる？」
Aは目を開けた。その目は。
挑発的で、人を試すような、好奇心の目だった。予想外の反応に戸惑うマサイ。きっと冷静に、何故か納得させられるような言い訳を考えると思っていた。

しかし、Aはにこやかに微笑んで言った。