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ガラスを通してみる外の修羅が、まるでただの映画のように校舎内は平和だった。
中等部2-Bを覗く全生徒達は、みな事情も説明されぬまま体育館に集められていた。避難が遅れた2-Bの25名の生徒と数名の教師だけがホールにて、校庭での惨劇に立ち尽くしていた。
現実味のない目の前の状況に不思議と焦りは感じず、ただ大騒ぎになるのはやはり免れなかった。ここまでくると「何かの撮影」と思うことも厳しいし、だからと言って引きこもりがちの転校生が目の前で巨漢を次々と切り殺していく様には、どうしても「ワイヤーがあるんじゃ」と考えてしまう。
しかしその中で真剣な顔で黙り込む姿があった。
あの3人である。
彼らはあの危機的状況で中心人物になって動いた。
だからこそ、
"自分たちは確かにあの時死んでもおかしくはなかった"
そう、しっかりと認識できていた。
ここが現実だからこそ感じる恐怖を味わっていた。
颯天が真選組にいること、そこで刀を振り回していたこと、そんな断片的な情報はまとまることなく頭を巡るだけである。
「なあ、あいつがどんなやつなのかはっきり分からない。
分かってるのはめちゃくちゃつえーってことだけ。
でもさすがにあんな相手に勝てるわけがない。
手助けに行こうぜ!?」
宿名が立ち上がった。
握りしめた手は震えている。それでも目は真っ直ぐに光っていた。
同意を求めるように天たちをみれば、そこには同じく闘志を燃やした瞳が…………
ない。
「無理だよ。足でまといになるだけだって。」
「でもッッこのままただ見てるだけなんて…」
「気持ちは分かるよ!!!!
このままじゃ自分の心が罪悪感でいっぱいになる!
でも…………。」
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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年6月14日 6時