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「へー。"身の危険"ね」

沖田は視線を少年の周囲に向けた。彼は布に包まれている刀を身の傍においている。勿論今も。
次に沖田は土方を視線の中に見つけ、彼が今当惑していることを確認した。きっと今なら沖田が何をしでかしても迅速に対応するのは困難だ。
沖田が次の一手を決めるのに、この状況は最適だった。

(やっぱり持ってきて正解だったな)

沖田の腰元には愛刀がしっかり収まっている。
沖田はスルスルと手を腰元に伸ばし、自身の得物に触れた。特に腰を落とし構えたりはしない。喧騒のなかでは誰も沖田のその行為には気づかない。

「てめぇの実力、見せてもらうとしまさァ」

誰の耳にも届かなかった呟きとともに、沖田が獲物を抜き素早く少年に斬りかっかった。

ガキィィン

金属のぶつかり合う、耳をつんざくような激しい音。周囲の人間は時が止まったかのように固まった。
沖田の一撃を何とか刀で受けとめた少年はすぐに体勢を立て直し、沖田から距離をおいた。鞘と刀を包んでいた布がこのときようやく地に落ちた。それほど、瞬間的な出来事だった。
呆然とする隊士たちの視線を気にも留めず、沖田は再び少年に斬りかかった。しかし今度は不意打ちではない。少年はそれをいとも簡単に避け、反撃に出る。
両者一歩も譲らない戦いだ。だがそれも長くは続かない。少年は懐から苦無を取り出し、それを巧みに使い始めたのだ。少年の方が優勢のように見えた。

「おい、総悟!やめろ!」

一番に冷静になった土方はすぐに仲裁を試みる。が、鬼の副長の力をもってしてもなかなか間に入ることは難しい。想像を絶する斬りあいに戦慣れしているはずである隊士でさえも、緊迫感に気圧されていた。
そんなとき、やっと少年の方が疲れをみせはじめた。やはり18の青年と14のまだ幼い少年。体力には大きな差がある。
そしてとうとう少年の足が縺れ、仰向けに転倒。
勿論沖田はそれを見逃さず、少年にまたがるように膝だちをしとうとう追い詰めた───
かのようにみえた。


少年はまだ尚、隠し玉を持っていた。

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沖田ファン - プロフィールの高杉晋助の漢字が違いますので、訂正お願いします。 (2019年3月2日 15時) (レス) id: a06ab380f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜 椿 | 作成日時:2018年4月8日 9時

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