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満天の星と冬の冷たい風が涙をさらっていく。
あーあ、何してるんだろう俺。
こうなることくらい分かっていたのに
覚悟は決めたはずなのに
もう今日で最後にしようと決めたのに
どうしてこんなに胸が痛いんだろう。
ぽろぽろ溢れる涙もそのままに、式場の壁にもたれ掛かる。
出会った高校の時からずっとずっとふっかを思い続けていたけど、きっと彼は生物学的にいう女の子が好きで。すぐに彼女を作って、別れてもすぐまた隣には新しい女の子がいるような、そんな人だった。理由なんて簡単。優しすぎるから。優しすぎるから、断ったら相手が傷ついてしまうと心配して、余程苦手な子以外はいいよって頷いて。
モテるんだ、ふっか。自分から告白したことなんてないくせに。次から次へと彼に惚れた女の子がやってきて、俺からふっかを攫っていく。ふっかは別にお前のこと好きでもなんでもない、ただ良心で付き合ってるんだよと何回言おうとしたことか。
そんなことする勇気も資格もない俺は何も出来なかったけれど。それでも諦められなかった。
テストのたびにあべちゃん教えてよと頼ってくれて、彼女がいない日は必ず一緒に帰って。
彼女と別れた日にはクレープやらポテトやらを奢ってあげて、それを美味しそうに食べてありがとうと俺に優しく笑いかける彼を
嫌いになる選択肢なんて見つからなくて
でも意気地なしな俺だから、結局思いを伝えることは出来ずにそのまま卒業して
ふっかは大手企業の営業マン
俺は公務員
たまに会ったりご飯行ったりしたけど、あんまり会いすぎると気持ちが抑えられなくなるから最近は誘われても控えていた。もう俺らも立派な社会人だ。
俺なんて、彼に恋をして思いを伝える権利すらなかったのに、女の子はずるい。女の子ってだけで、二分の一の性別をたまたま運で授かっただけで、ふっかに恋を堂々とできるんだから。もちろんさまざまな人がいることは承知の上でも、やっぱり羨ましい気持ちはおさまらなかった。
どうしておれは男なんだろう。
こんな世界大嫌いだ。
次生まれ変わったら、俺は女の子になりたい。
彼に恋をする、男の子が好きなかわいい女の子になりたい。
何度もそう思った。
流れる涙は止まることを知らなかった。
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むめた(プロフ) - まなさん» まなさんありがとうございます。更新頻度がバラバラにも関わらずそのようにおっしゃっていただけるなんて…!本当にありがとうございます☺︎ (2021年12月12日 17時) (レス) id: fa7163047a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませて頂いています。私なんかがおこがましいのですが、作者様の作品はとても繊細で言葉も丁寧なのに難しい訳でもなく大変想像がしやすくて。作者様の作品が大好きです。私はゆり組が好きで二人のシーンはにやけています。これからも応援しています (2021年11月8日 8時) (レス) id: ea11267275 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むめた | 作成日時:2021年10月24日 14時