とっておきのプロポーズ【志麻】 (ページ4)

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ちゅページ4

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「まぁ、これしかないよなぁ…」

深夜３時過ぎ、色々して意識を飛ばした彼女に跨りセンラ君からもらったリボンを手に取る。
Aの指、左手の薬指にそっとリボンを巻いて結ぶ。原始的な方法やけど…これが１番いい。

「んぅ……」

「やっべ。」

ごろんと寝返りを打ちそうな彼女から慌てて飛びのいて、こっそりとリボンを抜く。
危ない危ない……自分の手の中にある黄色のリボン。その輪は小さく、彼女が華奢で女性であることを見せ付けているかのようだ。
俺とどれくらい違うんやろな……これ。

「指輪、なぁ……」

どんなのがいいか、とかアレから色々調べてみた。
それこそ俺の検索履歴から、ゲームの攻略とか動画とか、アイドルとかその他もろもろが綺麗さっぱりなくなるくらいには調べつくしてみた。

相場とか、宝石とか色合いとか、アレもコレもと思っていくうちに
１つだけ、譲れないこだわりというか俺の欲が出てきていた。

「紫……入れたいよなぁ。」

自分の色である紫を、自分のものであるという印として。
そうしたらこれから先ライブで離れていたとしてもずっと一緒にいれるとそんな気がするから。
……まぁ、連れて行くのもありか？

「見てもらいたいしなぁ……俺の姿。」

出会ってから８年、付き合ってから７年。
坂田の友人であり、同じゲーム実況者の古参であるAと出会って。
一目ぼれして、アタックして付き合って。
浦島坂田船を結成して、個人でもどんどん幅を広げていって。
志麻として、成長することを彼女はとても喜んでくれた。

ライブにも着てくれるし、差し入れもしてくれる。
俺が配信してるときは待ってくれるし、すごいいい彼女だと思う。

「愛してるんよなぁ……」

さらり、と彼女の髪をなでる。
こう、誰かを好きになることは何度かあったがここまで誰かを愛したことは生まれてから１回もない、初めての感覚やから。

「ちゃんと、伝えへんと。」

「んっ……」

「……おやすみ。」

彼女の隣に戻り、布団をかけなおす。
抱き枕のように足を絡めてそのまま抱きしめれば、少し声を上げたがすぐに眠ってしまった。
頬にキスを落として、自分も眠りにつく。
ばれない様に、リボンは財布の中にしまっておいた。

「愛しちゅうよ……A。」

プロポーズまで、後７日。