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食事とワインを口にしながら先生は言った。




「Aちゃん、君が今何をしようと
 しているのか僕にはわからない。


 それでも昔から君を知っているから心配なんだ。
 どうか無理はしないで。


 君の体のは君のものだし、
 君の人生だって君自身のものだ。
 誰より君が大事にしてあげなくては
 いけないものなんだ。


 君が健やかに幸せに生きられるなら
 僕はどんなことでも力になってみせるよ。」



「その言葉だけでしあわせです。
 困った時は何より先生に。


 昔と違って今はとっても楽しいんですよ。


 それに先生にはわたしよりも救うべきものが
 あって、優先すべき命がある。


 それだけはどうか忘れないでください。」



「君の大切な家族を救えなかった僕には
 しかと身に刻むべき言葉だ。


 Aちゃん、君はすっかり素敵な
 レディになったね。本当に立派になった。」



「わたしには身に余る言葉です。


 あの時先生がいてくれなかったら
 きっとわたしは今も腐ったままでしたから。


 今日はわたしのためにお時間を
 割いて頂いてありがとうございます。」




Aは深く、綺麗に頭を下げた。


レストランを並んで出ると、ホテルの前で手を振って別れた。


そしてすぐ近くに立つ人影に振り向くことなく声を掛けた。




「長いことお待たせしちゃってごめんね
 蘭くん。」



「やっぱ気付いてたかー。」




私服で髪もいつものようにセットしていない蘭は、Aに向かって微笑んだ。




「どこまで知ってるかわかんないけど
 今わたし人目につくのマズいんだ。


 特に蘭くんみたいな人はね。わたしの
 泊まってるホテルまで着いてきてくれる??」



「お、部屋入れてくれんの??」



「…今日だけ特別ね。」




Aはチラッと蘭を見やると先にスタスタと歩き出した。


少し間を置いて、蘭もその背を追うように続いた。


そこからしばらく歩いて看板も何も掛けられていないビルに入った。


一見、普通のオフィスビルにしか見えない。


ここに来るまでに尾けられてる気配も視線も感じることはなく、今1度辺りをぐるりと見渡した蘭は中に入った。


受付などはなく、エレベーターのドアを開けたまま待つAと一緒に乗り込み上に上がった。




「…ここホテルなの??」



「うん。わたしみたいに身を隠したい
 人のためのホテルだよ。


 受付は地下にあって、2階と3階は普通の会社が
 入ってるパッと見オフィスビルなの。」





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YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(⁠◔⁠‿⁠◔⁠)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時

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