検索窓
今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:36,284 hit

19 ページ20

·



「愛は人を醜くする。
 Aはそういう倫理の中で生きてる。


 っていうのも周りにいた人がそうだったから
 仕方のないことなんだけど…」




波音は目を伏せてそう言った。


学生時代から一緒にいた2人はお互い、純粋な恋をしていたこともあったと語った。


Aが男自体を自分の欲を満たすモノと認識した背景にはとある事情があることも。




「多分、Aは線を引いたんだと思う。
 竜胆くんは友だちの枠を出ないように
 してくれてることにも気付いた上で…


 お兄さんの方は自分はともかく囲った女が
 よそ見したらよく思わないだろうって。」



「確かに相手によってはそういうとこも
 あるけど、たった数時間でわかるもん??」



「Aにはね。あたしはわかんないと思う。」




波音は笑うとモーニングを口に運んだ。


竜胆もコーヒーを飲んだ。




「でもお兄さん竜胆くんのこと
 羨ましくなっちゃったんじゃないかな。


 Aのこと気に入ったんだとしたら、
 自分に一切見向きもしないで
 竜胆くんを求めてるの見たわけだし。」



「何か言われても俺はAが側にいるの
 許してくれんなら友だちでいいって言うし。」



「うーん…ちなみにお兄さんと竜胆くんて
 同じ女のコ気に入ったことある??」



「あー…同じ女、兄貴が気に入ったかは
 わかんねぇけど抱いたことはあんね。


 俺の彼女だったヤツだってコロッと
 兄貴に鞍替えしたこともあるし。」



「じゃあ余計に見向きもされなかった
 経験なんか少ないよね。
 でも竜胆くんは何も気にしないでいいと思うよ。


 Aが上手くやるだろうしね。
 兄弟で揉めるなんか以ての外だよ。」



「…大丈夫かな。」




そうポツリと言う竜胆が可愛くて波音は思わず笑った。




「Aは竜胆くんが思ってるよりも逞しいよ。
 腕っぷしが強いとかじゃないけど
 肝据わってるしね。女としては最強だよ。
 今まで色々あったし。」



「そっか。波音ちゃんが
 そう言うなら大丈夫か。」



「また何かあったら相談してね。」



「わざわざ来てもらってありがとな。」




竜胆は伝票を持って立ち上がった。




「こちらこそ、ごちそうさまでした。」




2人は手を振って店の前で別れた。


波音はどこか羨ましそうに竜胆の背中を見送った。




「…そのうち、あたしなんかよりも
 Aの近くにいるようになるのかな。
 竜胆くん、いいな…」




·

20→←18



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
110人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

YUMi(プロフ) - ゆんこさん» ゆんこさん、新作見てもらえて嬉しいです!!期待に添えるように頑張ります(⁠◔⁠‿⁠◔⁠)性格悪めは書いてて楽しいです笑 (2022年11月13日 16時) (レス) @page4 id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんこ - 新作待ってました!性格悪い夢主ちゃんいいですね!!これから楽しみにしてます!無理をなさらず頑張ってください!! (2022年11月12日 22時) (レス) @page2 id: 8a5959758c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:YUMi | 作成日時:2022年11月12日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。