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Aチャンに会いたい。
早くあの大好きな笑顔が見たい。



ずっと纏わりついていた靄が
ほんの少し、晴れた気がした。



いよいよ迎えた試験当日、
Aは練習通り若狭にマニキュアを塗り、
アートを施すとその出来栄えに微笑んだ。

少し時間に余裕があり、2人でその爪を眺める。

終了合図で道具を片付けたAは
別室に移動して筆記試験を受ける。

全てが終了すると小さく息を吐いて体を伸ばした。



「お疲れさん。」


「ワカくんもね。帰ろ??」



試験会場を後にしてアパートに道具を置くと
約束通り買物に出掛ける。

今日は少し早いが真一郎の誕生祝いの
パーティをすることになり、買物を済ませたら
佐野家に集合と万次郎から号令が掛かっていた。

ショップに入り、
店内を物色しながら服を選んでいく。

まだ夏も盛りなため、お洒落な
トップスとパンツを2セット見繕う。

若狭はそれに合わせたベルトと
お店を変えてハイカットのスニーカーを選んだ。

ラッピングはゴミになるからと
紙袋にタグだけ外して準備してもらう。



「お店が違うのに纏めてもらってすみません。」


「気にしないでください。

 どちらのスタイルにもこのスニーカーなら
 よくお似合いだと思います。

 贈られた方もよろこばれますよ。」



紙袋にリボンのついたシールを貼ってくれた。



「丁寧にありがとうございます。」


「こちらこそ、ありがとうございます!!
 またのお越しをお待ちしてます。」



店の外まで見送りに来てくれた店員から紙袋を
受け取った若狭はケータイで電話を掛ける。



「思ったよりも荷物多いんだわ。
 Aと一緒だから拾って。」



それだけ言うと通話を切り歩き出す。



「弁慶呼んだから通り沿いで待ってろって。」


「えー、申し訳ないなぁ。」


「いいんだよ。アイツせっかく四駆
 買ったのに滅多に使わねぇんだから。」



悪びれることなくそう言う若狭に笑みを溢す。

通り沿いで待つこと10分。
大分ゴツい四駆が2人の前で停まった。



「待たせたな。」


「遅ぇよ。」


「全然待ってないよ!!
 慶三くん、わざわざごめんね!!」



若狭は後部座席に紙袋を放り
Aを乗せると助手席に乗り込んだ。



「お前は態度デカすぎんだよ、ワカ。
 Aもそんな気にすんな??
 どうせ俺も出掛けるとこだったから。」



にかっと笑って車を走らせる。



「2人からのプレゼントよろこぶだろうな。
 俺なんかタバコしか買ってねぇわ。」




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作者名:YUMi | 作成日時:2023年12月12日 16時

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