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「…可愛いな。」




思わずポツリとそう呟いた。


カシャとシャッター音が響く。


目を向けると穏やかな顔のAと
その後ろで3人がやさしく笑っていた。




「お前でもそんな顔出来んだな、蘭。」



「すっかりパパだよね。」




イザナとAは顔を見合わせて頷いた。




「10年前から名前決めてたってことは
 蘭はあの教会にいたときには将来
 Aとこうなるとわかってたのか??」




鶴蝶が純粋な疑問を口にすると
蘭はほんの少しキョトンとした顔をした。




「そんなん当然じゃん。


 それが何よりも俺の望んだ
 しあわせな未来だから。」




何でもないことのように頷くと
目尻をくしゃっと細めて笑う。


そして、愛おしさをこれでもかと
溢れさせた目でAを見つめる。




「それに、Aチャンと約束したもんな??
 俺のこの先の人生で証明するって。


 ならこの先何があったとしても
 離れることなんてねぇって思ったんだよね。」



「…蘭くん。」




Aはそんな蘭に笑い返すと
そっと隣に寄り添った。




「なぁ、兄ちゃんも大将もまだ
 この10年のことよくわかってねぇんだろ??」




そう言う竜胆が自室からアルバムを持ってきた。


蘭は永遠をベビーベッドに寝かせる。


ローテブルに開かれたアルバムに
みんなが引き寄せられるように集まる。




「せっかくだから
 思い出話でもしようぜ!!」




5人で頭を寄せて、写真を覗き込んだ。


蘭と竜胆2人の写真から始まるアルバム。


まだ子どもの頃の写真から
六本木を仕切るようになった頃の写真。


出所後の麻布祭りでの大行列の写真。


イザナたちと天竺の特攻服を着ている写真
それは時を経て東卍の特攻服に変わった。


元天竺のメンバーで遊んでいる写真。


20歳を過ぎてクラブ経営に乗り出し
派手なスーツを身に纏う写真。
蘭の長い三つ編みもこの頃には切られていた。


そして、Aと蘭の結婚式の写真。




「この教会…」



「式場では披露宴だけだったんだよね。


 蘭くんが挙式はどうしてもここの
 教会でやるって言うから別日で。


 お父さんと元天竺メンバーしか呼ばないでさ。」




ヴァージンロードを歩く、Aと父親の姿。


その先に待つ、蘭。


しあわせそうに笑う2人のそばには
あのときの神父の姿。


蘭とイザナの頭に霞がかったような
記憶が、鮮明に蘇る。




「…そうだったな。」



「あぁ…」




やさしく眦が下がる。




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YUMi(プロフ) - キクラゲさん» キクラゲちゃん、早速コメントありがとう!!ラストスパート頑張るね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧ (5月22日 17時) (レス) id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
キクラゲ(プロフ) - うわーついに続編!待ってた!ゆっくりでいいから頑張ってね! もう、50話から涙出てきた;; (5月22日 17時) (レス) @page1 id: bf82bf2975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2023年5月22日 16時

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