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「…おい、鶴蝶。
 俺はお前のこと大事に思ってるぜ。
 これからも、な。」



「竜胆ー、愛してるよ。」




背を向けたままそう言う2人に
思わず、駆け寄る。




「イザナ!!」



「兄ちゃん!!」



「先に行ってる。」



「お前らはゆっくり大人になれよー??」




蘭の手がイザナと重なった。


途端に意識を失くしたように
倒れる体を、それぞれ支えた。




「…行っちまったな。」



「…だな。
 俺らは俺らのやるべきこと、
 ちゃんとやんなきゃなんねぇな。」




涙を拭って顔を見合わせると笑みが溢れた。




「「10年後に会おうな、2人とも。」」




来たときと同じように
心臓の音が大きく聞こえた。
飛んだような感覚がして何も見えなくなる。




『おかえり。蘭くん、イザナ。』




またあのコのやさしい声がした。


バッと開いた目に映った景色に
蘭は思わず狼狽えた。




「…大将…??」




墓地にポツンと立ち、辺りを見渡して
イザナを探すもその姿はない。




「…ここって…」




見覚えはある。
Aの墓があった墓地だ。


だが、目の前の墓石には
見知らぬ人の苗字が彫られていた。


同じ場所に戻ってくるものだと
思っていた蘭は酷く焦った。


家に帰ろうにも、今の自分が
一体どこに住んでいるのか…


ほとほと困っていると、
ポッケに入れたスマホが鳴った。


着信を報せるディスプレイには竜胆と
表示されていて、急いで電話に出た。




「っ竜胆、俺…」



『あ、やっと出た!!
 兄ちゃん今どこにいんの!?』



「…えっと、渋谷。」



『はぁ!?
 何でこんな日に渋谷なんかいるわけ!?
 早く帰って来ねぇと大将にボコられるよ!!』



「…いや、帰りてぇんだけど
 俺って今どこに住んでんの??」



『…は??マジで言ってる??』



「…マジ。」




電話口の竜胆は不自然なくらいに
間を置いてから口を開く。




『…兄ちゃん、もしかして…
 帰って来たの…??』



「…そーみたい。」




蘭の返事に笑った竜胆は住所を告げた。




『10分で帰って来ないとヤバいから
 飛ばして帰って来た方がいいよ。』




話しながら墓地の入口に
停めてあるバイクに跨がる。




「おー、飛ばすわ。」



『…兄ちゃん、おかえり。』



「…ただいま、竜胆。後でな。」



『ん、気を付けろよ。』




電話を切ると口元に笑みが浮かんだ。


バイクのエンジンを吹かして
マンションまでの道のりを飛ばした。




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YUMi(プロフ) - キクラゲさん» キクラゲちゃん、早速コメントありがとう!!ラストスパート頑張るね(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧ (5月22日 17時) (レス) id: 85b1561d95 (このIDを非表示/違反報告)
キクラゲ(プロフ) - うわーついに続編!待ってた!ゆっくりでいいから頑張ってね! もう、50話から涙出てきた;; (5月22日 17時) (レス) @page1 id: bf82bf2975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:YUMi | 作成日時:2023年5月22日 16時

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