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「動きがクラゲじゃねぇよな、コイツ。」
「それが可愛いのー。
プクプクしててポコポコ動いてて。」
蘭はスマホのカメラを起動して癒された顔を
するAとクラゲを写真に収めた。
チンアナゴ、ペンギンと見て回り、
最後のお土産コーナーでAは
チンアナゴの抱き枕を見つけた。
「これ可愛い!!手触りもほわほわー。」
「買ってやるよ。」
「えー、それはいいよ。
お金出してもらってばっかりだもん。」
「遠慮すんなー??」
チンアナゴに手を伸ばす蘭に
Aは渋々渡すと、レジに向かった。
申し訳なさそうにしていたAだが、
渡されたチンアナゴに嬉しそうに笑った。
蘭もその様子を満足そうに見ていた。
すると店員が気を利かせて写真を撮ってくれると
言うので、蘭はスマホを渡した。
Aはチンアナゴを抱いて笑い、
蘭はその肩を抱いて頬を寄せた。
お礼を言ってスマホを受け取ると
2人とも楽しそうに笑っていた。
「行くかー。」
「うん。蘭ちゃん、ありがとう。
大切にするね!!」
「何せ蘭チャンからの貢物だからなぁ??」
「ふふ。貢物って。」
外に出ると薄暗くなっていて
スカイツリーの点灯が始まっていた。
下から見上げて綺麗と溢した
Aは幸せそうだった。
バブに戻りヘルメットを被ると
蘭は帰る前に寄りたい所があると言った。
Aも2つ返事で頷くとバブに跨った。
チンアナゴを蘭の背中との間に
挟んで落とさないようにして。
少し走り、川の近くでバブを停めた。
「ここって…」
「そー。懐かしいだろ??
俺らとAが最後に会った時に来た所。」
そう言った蘭はヘルメットをハンドルに
掛けて柵に寄りかかるように腕を付いた。
Aも隣に並んで同じように川を眺めた。
「そうだよね。あの時ここで話したんだ。」
「…Aの気持ち聞かせてもらう前に
俺も言いてぇことあんの。」
「うん。」
蘭は川からAに視線を向けると
左手に光るブレスレットに触れた。
「大事に持っててくれてありがとな。
アメリカでA見つけた時、
コレ着けててくれてホント嬉しかったんだ。
俺の代わりに側にいてくれたんだなって。」
「蘭ちゃんがここでくれた大切なモノだから。
ずっと一緒だったよ。」
「…付き合ってもいねぇ男から
ブレスレットもらって着けるとか、
バカじゃねって思ったけど安心したんだわ。」
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時