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今下りてきた階段を登り、
Aは稀咲の前に立つと優しく言った。




「そういうことみたいだから稀咲くん、
 改めてよろしくね。歓迎するよ。」



「…ッス。」




Aの見た目に反した迫力に稀咲は
冷や汗を流して頭を下げると返事をした。




「それじゃお先にー。」



「A、待てよ!!」




万次郎の呼びかけにはもう振り返らず、
今度こそ階段を降りてバブに飛び乗った。


排気音を響かせて走って行った。




「…どういうことだよ、それ…」



「…マイキー、Aの話は最もだぜ。


 No.3に一言も相談なしで
 決めるもんじゃなかったんじゃねぇか。」




堅にそう咎められ、万次郎はすっかり
落ち込んでしまったが武道が目を覚ますまで
残ることとしてみんなを帰らせた。


目を覚ました武道に圭介を連れ戻すように言った。


Aのことも見ていてほしいと頼んだ。




「…上手くいかねぇもんだよな、ホントに。」




いつもよりも弱々しく見える
万次郎に武道は眉を寄せた。


場地くんもAちゃんも
俺が何とかしてみせると約束した。


少しだけホッとしたように笑った
万次郎は空を見上げた。



Aはアパートに帰ると鳴った電話に出た。




「電話なんて珍しいね。
 どうしたの??蘭ちゃん。」



『よー、お前今ヒマ??』



「ヒマだねぇ。
 あ、でも洗濯だけ済ませたいな。」



『どんくらいー??』



「30分くらいかな。」



『お前んちの住所送っとけよー。
 蘭チャンが迎え行ってやるから。』



「うん、わかった。」




電話を切ったAは蘭にメールで
住所を送り、少しして鳴った洗濯機の
中の服をカゴに入れると服を干した。


そしてパーカーとスキニーに着替えて
ケータイをポッケに突っ込むと、
スニーカーを履いて外に出た。


聡にメールを送ることも忘れずに。


外に出ると腹に響くような低い排気音と共に
蘭がバイクに跨ってアパートの前に停まった。




「久しぶりだなー、A。」



「お迎えありがとう蘭ちゃん。どこ行くの??」



「んー、別に決めてねぇ。早く乗れよ。」



「はーい。」




蘭のバイクの後ろにAが乗ると走り出した。




「わざわざわたしのこと迎えに来なくても
 蘭ちゃんが誘えば喜んで付いてくる
 女の子いっぱいいるんじゃないのー??」



「まぁな。
 今日は竜胆とクラブ行くつもりだったけど、
 何かAの顔見たくなって来ただけー。」




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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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