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「わたしはまた万次郎の側にいることにした。
 あの頃に戻ったみたいで楽しかった。


 あの日、わたしここで何で
 すぐ頷けなかったのかわかんなかったんだ。


 それで少し時間をもらって考えた。」




朝起きても、バイトをしても、夜寝る前も。


そう言うAに万次郎は目を伏せた。


自分の言葉は困らせてしまったのだろう。




「だから会いに行ったの。


 万次郎にプロポーズされてから頭の隅に
 チラついて離れない人に…


 いつもと変わんないで笑って
 どうしたって聞いてくれた顔見て
 わたしすごく安心したの。


 でも言葉にするのが難しくて…
 万次郎やみんなから離れることにしたんだ。」




少し時間が欲しいと飛び出したのに
3年も掛かることになるとは思わなかった。



そう笑うAは3年前よりずっと綺麗で


大人になったように感じた。




「世界を回っているうち気持ちの整理がついた。


 そしたらみんなに会いたくなった。
 笑った顔が見たいなって思った。


 最後にアメリカに行って
 帰国することにしたんだ。


 そこで素敵なおばあちゃんに会ったの。
 うちのおばあちゃんみたいで嬉しくなって。


 わたしの話、たくさん聞いてもらったんだ。
 おばあちゃん最期に言ってくれた。


 今度はあなたが幸せになってねって。
 その時にちゃんと決めたんだ。


 万次郎のいない間ずっと側でわたしのこと
 支えてくれてた人と向き合うって。


 それで今度はわたしが大切にしようって。」



「…ソイツはさ、Aにとってどんな人??」




「わたしが傷付いて落ち込んだ時に
 たっくさーん甘やかしてくれる人だよ。」




「…そっか。


 Aはソイツとならきっと幸せになれるな。
 俺が出来なかった分も、幸せにしてもらえよ。


 今度会わせろよな??」




そう言った万次郎は吹っ切れたように
穏やかに笑ってAの頭を撫でた。


Aはそんな万次郎の体に抱き着いた。


万次郎は驚きながらもその体を抱き止めた。




「…万次郎、ワガママ言っていい??」



「んー??」



「わたしはこれから先の人生かけて
 その人を思うって決めたけど


 万次郎は大切な仲間でダチでしょ。
 人生でそんな仲間何人も出会えないと思うの。


 万次郎はもうわたしなんか
 会いたくないかもしれないけど


 わたしはこれからも万次郎と笑いたいよ。」




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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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