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蘭たちはマネージャーの車で
六本木のマンションに送ってもらうと
駐車場に停めてある車に乗り込んだ。


そして渋谷駅を目指して走った。


近くのパーキングに車を停めると
Aの姿を見つけ、合流した。


さっそく不動産屋に向かい
テナントに案内された。


モダンな外装に合わせて中もシックな造りだった。


Aは1つ頷いて即決。


書類にサインして、入居日を決めて
荷物の運び込みの相談をした。


前にいたおじいさんは喫茶店をしていたらしいと
聞いた蘭と竜胆はピンと来て声を揃えた。




「「飲み屋か。」」




「御名答!!


 わたしの夢でみんなが気軽に集まれる
 アットホームな飲み屋を開こうと思います。」




あえてバーと言わないのは
カクテルを作るのを見せるよりも


美味しいものを食べて
自分の好きなお酒を飲んでほしいから。


2人は妙に納得した。


Aがいきなり世界を周りだしたのも
美味しいお酒とそれに合う料理を見つけるため。


そして楽器も弾けるようにして
この外観や内装に合わせて
雰囲気を作るためのものだと。


ジャズバーのようなお店でも敷居の低い誰でも
立ち寄れるものにしようとしているのだと。




「…これは蘭チャンの想像以上だわ。」



「Aは要領良すぎ。」



「実際荷物とか入れてみて
 オープン前に2人に来てほしいな??


 もちろん最高のおもてなしで迎えるから。」




そしてテナントの話は終わり
その足でイザナたちの元へ向かった。


蘭と竜胆も着いていき、
久しぶりの再会に花を咲かせた。


Aは鶴蝶と別室で書類を出して話をしていた。


イザナはすっかり児童養護施設の先生らしく
丸くなりその顔は昔と違って穏やかな様子で
蘭も竜胆も改めて時の流れを感じたのだ。




「とりあえず、まだ見込みだから
 何とも言えないけど売上げの3割は
 ここに寄付することにしてるから。」



「…有り難い話だが本当にいいのか??A。」



「もちろん。
 2人の役に立てるならどうってことないよ。


 それにお金はいくらあっても困らないでしょ??


 これからもここは子どもたちの助けになる
 場所なんだから。少しでも手伝わせて??」





Aの言葉に鶴蝶は瞳を潤ませると頭を下げた。





「何と言ったらいいか俺には言葉が足りなくて
 Aへの感謝が伝えきれない。


 でも本当にありがとう。」





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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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