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「何でAは昔から自分が
しんどくなるのわかってるのに
その道選び続けてんのかな…??」
「それがAだからだろ。
俺らが昔から好きな女は
そういうヤツだったよ。」
「…A何か言ってた??」
「日本に帰ったらたくさん
話さなきゃいけない人たちがいるって。
ちゃんと話したら
俺の所に来るって言ってたわ。」
「…兄ちゃん。」
「…いつかはAが誰か1人を
選ぶ日が来るのなんてわかってたのに
いざその時が来ると思うと
どうしたらいいかわかんねぇよなぁ…」
蘭はウィスキーを呷ってタバコに火を点けた。
「Aが誰を選んだって離れることねぇよ。
男としては側にいられないけど俺たちが
今までAと一緒にいた時間なんて
そんな簡単に消えるもんじゃねぇんだし。
それにAが選ぶのは
マイキーとも限らねぇじゃん。」
竜胆は寝ているAに目を落としてそう言った。
「…Aとマイキーが一緒にいるのは
昔から違和感がなさすぎるだろ。」
「結局マイキーを選ぶつもりなら
Aが3年前にわざわざ離れることねぇよ。
素直にマイキーを選べないって気付いたから
1人で飛び出したんだって俺は思うけどね。」
3年前、最後に蘭や竜胆と会った時の
Aはどこか困ったように笑っていた。
万次郎にプロポーズされたと言われた時に
蘭は長い片想いが終わったのだと感じた。
あの時、Aは小さく何か呟いたが
上手く聞き取れずに聞き返した。
首を横に振ったAは笑ってまたねと
手を振って帰っていった。
それから間もなくイザナから
Aがバブ持って消えたと聞いた時は
繋がらない電話を何度も掛けた。
「…そういや、あの時何て言ってたんだろうなぁ…」
「兄ちゃんマジで聞こえてなかったんだな。」
蘭はにししっと笑う竜胆に目を向けた。
「俺はちゃーんと聞こえてたぜ??
『あの時そう言ってくれてたら
迷わないで着いて行けたのに…』
ってA言ってたんだよ。」
「…お前聞こえてたの??」
「バッチリな。
だから俺はAへの気持ちに
踏ん切りついたんだけどさ。
でもAが良いって言うなら
変わらずに側にいてぇと思うよ??」
竜胆はAへの気持ちを
あの時上手く昇華したのだ。
機会はいくらでもあったのに
蘭にはそれが出来なかった。
ふっと小さく笑って目を閉じた。
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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時