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約1ヶ月後、アメリカ。
「おばあちゃん、今先生呼んだからね。」
Aはベッドに横になり浅い呼吸を
繰り返すおばあちゃんの手を握り
ベッドの淵に腰掛けた。
「Aちゃん、ありがとう…
本当にここまでこんな年寄りに
付き合わせてごめんね…??」
「ううん。
わたしがおばあちゃんといるって決めたの。
本当の家族になれたみたいで嬉しかった。」
「…寂しく、1人で
死んでいくはずだったのにAちゃんが
来てくれてから毎日楽しかったわ…」
「うん、楽しかったね。」
優しく相槌を打ちながら
おばあちゃんの髪を撫でてやった。
Aがこのおばあちゃんと出会った時
娘夫婦と孫を事故で亡くし、
更に余命宣告を受けたばかりだった。
もう生きるのも億劫になったおばあちゃんは
無気力に過ごしていたが、Aと出会い
また生きる力を持ち直したのだ。
そして今、生きてきた時間が終わろうとしている。
でも気持ちは穏やかだった。
寂しくはない。
だってこんな優しい子が看ていてくれるのだから。
「…永く生きた甲斐があったわね。
最期にこんなに可愛い女の子が
側にいてくれるのだから…」
最期によく目に焼き付けるようにAを
見つめるおばあちゃんのために微笑んだ。
そしておばあちゃんの好きな子守唄を唄った。
先生が到着したが、Aの後ろに
控えるように静かに立っていた。
「…大好きよ、Aちゃん。
今度はあなたが、幸せになってね…
本当に、ありがとう…」
「うん、約束するね。おばあちゃん。
たくさん、たくさん、わたしの
おはなし聞いてありがとう。」
それきりおばあちゃんの目が閉じられ
だんだん呼吸の音が小さくなり
胸も動かなくなった。
ほんのり指先が冷たくなって
緩く握られていた手から力が抜けた。
Aはそのまま手を握り続けていた。
先生がAの反対側から
聴診器とライトを取り出して、確認をした。
「ご臨終です。
苦しまず、穏やかな最期でした。」
「先生、ありがとうございました。」
「Aちゃんのおかげでおばあさんは
余命宣告から半年も長く生きた。
そして先に逝った
家族の元に還っていきました。
私からもお礼を言わせて下さい。
他人だったというのに
ここまでしてくれてありがとう。」
その言葉にAは首を横に振った。
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作者名：YUMi | 作成日時：2022年7月23日 12時
