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そう言ってニヤリと笑った男はAの元に戻り
その手を優しく引いて歩き出した。


Aも大人しく従い2人は喧騒から
少し離れた公園のベンチに座った。




「急にすみません、助かりました。
 穏便に済ませたかったんですけど…」



「いーよ、別に。
 俺、今日は機嫌いいから。」



「お噂はかねがね。」



「…やっぱり知ってんだ。」



「もちろん。灰谷蘭さんですよね。」



「随分他人行儀だな。
 さっきは可愛く蘭ちゃんて呼んでたくせに。」




蘭はクスクスとおかしそうに笑った。




「俺もお前のこと知ってるよ。
 東卍の特攻隊長、蔵谷Aだろ??」



「そうです。


 用事があってここに来ただけで
 何かしに来たわけじゃないですからね??」



「そ、別に構いやしねぇよ。


 確かに六本木は俺たち兄弟で仕切ってるが
 別によそのヤツらが入って来たくらいで
 目くじら立てたりしねぇし。


 まぁ…気に入んねぇことするなら別だけど??」




酷く挑戦的な目をした蘭にAは
キョトンとしたがすぐに笑いだした。




「カリスマ兄弟って呼ばれるだけありますね。
 ホントに綺麗な人だー。」




そう言って笑うAの顔が綺麗に輝いていて
蘭は思わず目を奪われた。




「その敬語やめろー??
 何かゾワゾワすっから。」



「じゃあお言葉に甘えて。…蘭ちゃん??」




Aは悪戯げに笑って蘭を見上げた。




「おー、それでいいわ。
 お前みたいなタイプそうそういねぇよな。


 俺初対面の女にいきなり腕とか触られたら
 顔殴ってるわ。」



「ごめんなさーい。
 たまたまタイミングよく蘭ちゃん見つけたから。


 六本木だし、蘭ちゃんのこと
 知らない人いないかなぁって。」



「そりゃあなー。


 それより俺、一応助けてやったんだけど
 お礼ないの??」



「んー、何欲しいの??」




首を傾げるAの腰を抱いて
蘭は自身の膝の上に乗せると
目線の変わらなくなったその顔を見つめた。




「お礼のちゅー。」





楽しげに細められる蘭の目を見つめ返した
Aはふっと目を閉じて蘭に顔を近づけた。


蘭もギリギリまでその顔を見つめて目を閉じた。


すると唇ではなく鼻のてっぺんにチュッと音が
して目を開けるとニコニコ笑うAがいた。




「ありがと、蘭ちゃん。」




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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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