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電話を切った武道は足を速めて
聡のアパートに急いだ。


インターホンを鳴らすと聡が笑って出迎えた。




「すまん、タケミっち。


 風呂だけ入れって言うから
 上がって待っててもらえるか??」



「…すいません、いきなり来ちゃって。
 ゆっくりしてきてください。」




武道がリビングに通されると
優しく笑う香菜が迎えてくれた。




「武道くん、はじめまして。


 香菜です。こっちで私と話して待ってよう??
 聡くんはびっくりするくらい長風呂だから。」



「すまん、香菜の相手してやってくれ。」



「ホントに俺のこと気にしなくて大丈夫なんで
 いつも通り長風呂してください。」



「じゃー、お言葉に甘えることにするか。」




聡は嬉しそうに笑うと風呂に向かった。


武道は香菜に向き合うとペコリと
頭を下げて自己紹介した。




「はじめまして、香菜さん。
 花垣武道です。


 こんな時間に突然すいません。」



「武道くんが来るの待ってたんだ。」



「え…??」




香菜は温かいお茶を淹れて
武道の前のテーブルに置くと近くに座った。




「Aちゃんがね、武道くんは
 きっと自分のこと聞きにくるから
 その時は伝えて欲しいって言ってた。」



「…Aちゃんが??」



「うん。3年前の4月だった。


 おばあちゃんの命日にお墓参りして
 Aちゃんはここからいなくなった。


 最初の行き先は中国だった。


 聡くんに買ってもらったバブと
 カバン1個だけの荷物で
 パスポート持って出掛けていったの。」



「バブ、まだ大事に乗ってるんだ…
 Aちゃん。」



「そうなの。


 Aちゃんがここ出ていく前の日に
 私の家まで来てくれたの。


 その頃はAちゃんとは会ったりしてたけど
 聡くんとは元カノだし疎遠??
 みたいな感じでいたから。」




香菜は思い出すように目を閉じた。




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作者名:YUMi | 作成日時:2022年7月23日 12時

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