- ページ42
.
内田「末吉さんは一旦帰ったから今日は私がいるよ」
『お仕事は？』
内田「今日はもう休み」
『そっか......愛エチュのアフレコ、延期だってね。ごめんね...』
内田「謝らないで」
『ごめ...あぁ......』
内田「どっか痛いところある？」
『んー......』
痛くない、わけないよね。
内田「...」
『今の私、どんな状態？酷い...？』
目を覚ました時にはすでに視力が低下していて、それ以降はずっと目を覆った状態。Aは今自分がどんな姿をしているか知らない。
内田「まだ少し腫れてたりするけどすぐ引くみたいだし、痣も残らないだろうって。心配しなくていいよ」
きっとAがちゃんと見えるようになった時はきっと綺麗になってるはず。
内田「肩の傷は...完全に消えるか分からないって...」
一番傷が酷かったのは右肩。容赦なく切りつけられて、一番大きな傷跡になっていた。もしずれていたら、首にも刃が届いていたかもしれない、と。
想像するだけで戦慄する。話を聞いた第三者でさえそうなのだから、Aは......
どれだけ怖い思いをしたか。
『そっか...』
内田「...」
『加賀美さんも...逮捕されたんだってね...』
内田「...うん」
共犯だった。むしろ加賀美さんが三輪さんを唆して起きた事件だった。
Aの家を訪れた事がある加賀美さんが三輪さんに住所を教えたようで、三輪さんは事件前にもAのマンションに近づく姿が防犯カメラに映っていた。
供述で明らかになった動機は、二人ともAに対する身勝手な恨みからだった。
どうでもよかった。
あの人達の動機なんて、知りたくもない。
Aを傷つけていい理由なんて、あるわけないのだから。
内田「......」
吐いた息が震えた。込み上げるものを今は我慢しないといけないのに。Aの手に自分の額を押し付ける。
ちゃんと、温かい...
『真礼......？』
Aの手に、雫が落ちた。
内田「生きててよかった......」
『......うん』
手探りするようにぎこちなくAの手が私の頭に乗った。
『泣かないで』
ぽんぽんっと弱々しく叩かれて、Aの口元がゆっくり笑う。
内田「...うん」
それを見て鼻がツーンとしてきて、私はもっと泣いてしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1945人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
gtuysut5843…(プロフ) - 好き！！！！控えめに言って神！！！！泣けるし、笑えるし、いい話だし！！！声優さんたちとの関係性もすこです…続編楽しみにしています！！！ (2022年7月26日 2時) (
レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ひまなみ(プロフ) - 作品読みました！もう！あーーー！！ってなるほどもどかしく、でも面白くて最高です！！更新頑張って下さい！！ (2022年6月16日 7時) (レス) @page50 id: e0f8058dad (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 作品読ませていただきました。日常的な会話や、感動シーンまで全てにおいて素晴らしい作品だと思います！この小説はとても面白くて好きなので、更新楽しみにしてます。 (2022年4月30日 17時) (レス) @page49 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - きららさん» ありがとうございます！もっと上手く話を書きたいのですが難しいですね〜。亀更新ですがよろしくお願いします〜 (2022年1月8日 0時) (レス) @page49 id: 39a3459d31 (このIDを非表示/違反報告)
松野(プロフ) - 夜野 望さん» ありがとうございます！更新遅いですがお付き合いください〜 (2022年1月8日 0時) (レス) @page49 id: 39a3459d31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：祭 | 作成日時：2021年7月14日 0時
