夢見る歌うたい【DREAM!ng】 (ページ9)

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8 扉のその先はページ9

ロビーが静かになってから部屋に向かってるから多分同室の新入生はすでに部屋についてるはず。

私のイメージとしてはドアが開いたらクラッカー鳴らして「Well come!!」って感じで出迎えたかったんだけどこりゃ無理だ。

「それに、なかなかの名家のお嬢様だしなぁ。」

静かにドアノブを捻る。
扉を開けるとふんわりと鼻をかすめる和風出汁の香り。

「お帰りなさい！あ、違った初めまして！1年特進クラスの藤岡さくら言います。よろしくお願いします。」

キッチンから制服の上にエプロンを着けた1年生が駆け寄って来た。

え？私のお嫁さん？←

「た、ただいま？私は2年の椚Aよ。アメリカの分校から来たから他の2年よりは日本の学院に詳しくないけどよろしくね。」

「はい！帰国子女さんやったとは…先輩、和食は好きですか？」

「うん、好きだよ。向こうでも和食レストランで食べてたけど帰って来てから食べてないな。」

「それなら丁度良かった！今ウチの自慢のお出汁で煮物作ってるんでもう少し待っててくださいね。」

あまりの展開に頭が追いつかないんだけど、確認すると…

「ようこそ」なんて言うつもりで部屋に入ると新入生が夕飯を作って出迎えてくれた。

ってことになる。

え、おかしくない？

「あ、あの。今日は入学式とかで疲れたでしょ？夢システムなんて結構精神削がれるし…」

「あのほんまにライブ凄かったです！ウチもあんなライブ出来るやろか…あ、先輩そんな近う寄ると油飛びますよ。」

え、ええ…

解散してから私がロビーを出るまでそんなに時間はなかった。
けど彼女は異次元的な速さで夕飯を作ってる。
しかもめちゃくちゃ美味しそう。

この部屋は異様にキッチンが立派だなって思ったけどそういうことか…