夢見る歌うたい【DREAM!ng】 (ページ19)

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17 上る体温ページ19

「椚さん、貴女午後のレッスンは休んでもらいます。欠席にはしませんから病院に行って来なさい。」

午前最後の授業は担任である伊野尾先生だ。
なんら問題なく受けてたと思うんだけどな。

「だってさ。俺のカノジョで乗せてってあげようか？」

突っ込みたいことはいくつかある。

そんな風受けたら花粉の強襲が本当にやばい。
想像するだけで涙が出る。
バイク乗れるのは寮から学校まで。
よく先生の前で言えるな。

諸々喋るのがしんどいのでシッシと手でやった。

「夢システム中になんらかの衝撃で現実の貴女が目覚めてしまうと何が起きるかわかりません。夢の中からは意識的にログアウトできますが。それに朝より顔色がかなり悪いですよ。」

確かに。急にクシャミとかで目覚めたらどうなるんだろ…
夢の中でも花粉症患者なのかな…

「分かりました。」

「A結構辛そう。朝からそんな調子なの？」

「朝はまだ良かったと思う。薬飲んで無いからかな…」

それはバカだと紫音にまで言われた。

「A、本当に熱ありませんか？朝に比べて怠そうですけど。」

「先生の判断だけど仁さんにはサボったこと報告するからね。これ以上黒寮に汚点を残さないようにしてよ。」

「大丈夫でしょ。食欲あるし割と元気だけど？ちょっ紫音手冷た！冷え性？」

「時雨、Aかなり熱ある。」

冷静な紫音の言葉で時雨はやはりとため息をついた。

「とりあえず保健室で体温を計りましょう。あまりにも高ければ寝てなさい。真也に連絡します。」

「行くよ、A。」

紫音は私の荷物を持って教室を出た。
それを追いかけるように後を急ぐ。

「あんな元気そうだけどね。」

「熱に気づかないただのバカなんじゃない？」